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悲鳴の電話
 ツレの従妹に、ちょっと変な子がいる。彼女の両親がとても厳しく、頑固にしつけたため、ノイローゼみたいになってしまったという話は聞いた。おかしくなってどこかへいなくなってしまった事もあるという。
 実際に会ったこともあるが、同世代のとても美しい女性だ。あまり笑わないが、笑うとフワッと優しい笑みを見せる。たしかにとっつき難さを感じる雰囲気を漂わせていた。なんでも、職業はわりと才能のある芸術家らしい。

 そんな彼女から、最近たびたび電話がかかってくる。かかってはくるが、留守番電話のまま受話器を上げないので、そのまま切れてしまう。
 実はそれ以前に、ツレの姉から先回りの電話があり、「そっちの電話番号教えちゃったから、電話がかかって来て『会いたい』と言われると思うけど、関わらないであげて」と釘をさされていた。前にもそういう事があって、行方不明になったり、よくわからないが何かいろいろ大変だったらしい。ツレの姉としては、巻き込まれないようにという配慮だったのだろう。
 ツレが1回電話に出たら、どうでもいい話をされたらしい。私はその時なんとなく、彼女が私と話したがっているような気がした。あんのじょう、2回目の電話では「ぐりえちゃんは?」と聞いてきたという。その時は「今、手が離せないみたい」とツレが早々に電話を切っていたが、それ以来、電話に出るなとツレはいう。

 彼女の育った環境を知った時、私は自分にとても似ている面があるので共感も同情もしていた。そして、以前にその彼女と会ったとき、ジーっと私を見る彼女のまっすぐな目に気づいて、にっこり微笑んだら、彼女も微笑み返してくれた。私が「大変だと思うけど、やりたい事は続けてね。才能あるんだから、途中で辞めたりしたらもったいないから。」と言ったら、とても喜んでいた。なんだろう。精神病患者同士で通じるものがあるというか、そんな空気みたいなものを感じたような気がした。

 自分ではわからないが、私からは幸運のオーラ、癒しのオーラみたいなものが出ているらしい。昔から、それほど親しくない人からでも、突然以下のような事を言われることがしばしばある。

「近くにいると安心できる」
「幸運のペンダントと同じ臭いがする」
「近寄ると天使のような暖かさを感じる」
「ぐりえちゃんと一緒にいると絶対にいい事がある」

これは全部女性から言われたことなので、別に口説き文句とかではない。あまりにも言われるので、自分でもそうなのかなと思うようになってきた。自分は不幸なのに不思議なものだ。確かに、困った人を呼び寄せてしまうというか、自分から近づいてしまうというか、どうしても放ってはおけないのだ。私には、どこかから課せられたそういう使命があるのかもしれない。

 そして、その感受性豊かそうなツレの従妹も、そのオーラを敏感に感じ取ったのだろうか。昼、普通サラリーマンは家にいない時間に、何度も電話がかかってくるのだ。私を求めているのがわかる。誰かに頼りたいというテレパシーが、悲鳴のようにヒシヒシと飛んでくる。
 私は、このまま彼女を見殺しにしていていいのだろうか。

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ふっきれた
2007.10.12 Fri 10:48 | ネット依存症 | 心と身体
 昨日あたりから少しずつ調子が戻ってきたようだ。背中から誰かがのしかかっているような、あの全身の重さがなくなってきた。薬が効いてきたのか、ひたすら寝たのがきいたのか、それとも精神的な何かが改善されたのかわからない。

 一昨日の夜、ネト彼だった人とチャットした。相変わらず彼の考えている事がわからない。私は必要とされている人間なのか、いてもいなくてもいい人間なのか。いつもの事ながら、「考えすぎ」「変にこだわる必要ない」というのが彼のスタンスだ。私に対しても、「遊びたい時にいつでも来ればいいし、遊びたくなければムリにこなくていい」と彼は言う。つまり、私はいてもいなくてもいい人間ということなのだろうと、解釈できた。
 残念な事に、うつ病の私の頭の中には「遊びたい」という積極的な欲求は存在しない。ただ、近くに誰かの存在を感じていたいだけ。誰かに私の存在を感じてもらいたいだけ。たまに話を聞いてもらいたいだけ。そんな私は、彼のネットの人間関係にしては、あまりにも重い存在になってしまったのだろう。勝手にいろいろ期待して、本当に申し訳なかった。
 でもそんな彼が「ぐりえさん死んじゃダメだよ」と2回言ってくれた。まぁ、通りすがりの老人にでも言えるセリフではあるが、嬉しかった。私なら背負っているものが多すぎて、死にたくても死ねないから大丈夫。ただ自然な形の死を、ひたすら待ち望んでいるだけだ。それでもその言葉が嬉しかった。

 やはりネットで遊ぶには、”私の場合”ネット用の人格が必要なのだと思った。いつも明るく元気でちょっぴり泣き虫ないじられキャラ。そんな第2の自分を演じていると、みんなも笑う。私も笑う。それでいいんだと思った。何かがふっきれた。2ヶ月前のあの時にはもう戻れないけれど、みんなが望む私を演じきる事が私の生きがいなんだなと、思った。それが私の生きている証なら、道化に徹しよう。

 夜中遅くに同居のツレが帰ってきた。泣きはらして真っ赤になった私の目を見て、「また泣いちゃったのかぁ辛いねぇ」と頭をナデナデしてくれたが、疲れているらしくすぐ寝てしまった。私は勇気を出して、彼をたたき起こし、手をつないで寝てもらうようにお願いした。手をつなぐと、誰かがいる事を感じられるから、涙も少しは止まるのだ。途中で彼は寝入ってしまったらしく、すぐ手は振りほどかれてしまったが、私もじきに薬が効いて穏やかに眠りにつく事ができた。

 それから、心配してくれてるのかな。ここを毎日見に来てくれている大切な友人のみんな、本当にありがとう。コメントはなくても、足跡が残っている。だいたい誰が来てくれているのか想像がつく。その中には長らくお話していない人もいる。
 でもそんなあなたの存在を感じるだけで、勇気がもらえるんだ。いつもありがとう。私のくだらない話を飽きずに聞いてくれて、本当にありがとう。