
というキャッチフレーズが大きく書いてある。はさんでコロコロ気持ちいい
オシャレもキレイも指先から
これは何ですか?と聞かれても私もよくわからないのだが、「美的ハンドケア」商品らしい。なぜ母が突然かってきたのかというと、テレビでヘアメイクアーティストの豊田一幸さんことIKKOさんが、「これいいわよ~」と言っていたのだそうだ。
「指が細くなるの?」と聞いても、母もよくわかっていないらしく、「何だかとにかくいいらしいわよ~」と言って、私に1本くれた。
ローラー部分にゲルマニウムが配合されているらしい。何がいいのだろう?パッケージの裏を見ると
だそうだ。良い影響って・・・だから何に良い影響なのよっ!!!ゲルマニウムは32℃以上の温度で最外殻の1個の価電子(自由電子)が飛び出しその電子特性により接触物に良い影響を与えます。
とりあえず指をはさんで正面も側面もコロコロしてみた。ちょっと気持ちがいい。親指と人差し指の間の握力筋をコロコロしてみた。かなり気持ちがいい。しばらくコロコロしていたら、なんと!お手々がすべすべになっているではないか。肌が軽く光っている。シワが消えていて、指紋まで消えそうな勢いだ。
たぶん、何かに良い影響を与えているのだ。たぶん。
児童相談所の児童心理司である山脇由貴子さんは言う。
実際に街でインタビューされた女の子が言っていた。1つには学校や家庭など、子供達を取り巻く環境に問題があります。いつ嫌われるかとか、浮いてしまうんじゃないか、いじめられるんじゃないか、といった不安を抱えながらの関係で、全然本音が言えない関係になっているのです。もう1つは、家族それぞれが忙しくてすれ違いばっかりで、全然コミュニケーションが取れていないという問題があります。
ネットの世界で知り合った友人が、自分にとって本当に初めてぐらい親身になってくれる大人だと思っているので、その人に会って危険だという発想を抱かないわけです。
私は子供ではない。れっきとした大人であるが、まるで自分の気持ちを指摘されているような気がした。たぶん、いわゆる『ネットに依存』している人(多くは女性)は、ほとんどこういう気持ちを抱いているのだと思う。現実世界には本当の私を理解してくれる人なんていない、でもネットでは本音が言えるし、理解してくれる人がいる、そんな幻想を抱いてしまうことが危険なのはわかっている。それは自分が勝手に作り上げた虚像にすぎないとわかっていても、言葉を信じたいのだ。すがりたくなってしまうのだ。サイトで出会った友達がすべてだし、自分を理解してくれているのもサイトの子達だし。
スタジオゲストのジャーナリスト柳田邦夫氏は問題点を指摘する。
そして心理面についても、先ほどの山脇さんと同じように、こう説明する。携帯ネットなどの、何か機械を介してコミュニケーションする、あるいは情報を得るとか発信するとか、いわゆる”バーチャルコミュニケーション”で起こることが、生身の人間の接触の中で育つ事とどこが違ってくるかっていう問題です。
我々が育った頃のように、生身のぶつかりあいの中でお互いの感情をわかったり心の読み取ったりとか、そういう育ちができなくなっているんです。具体的にどこが問題かっていうと、一方的にボタンで発信するものですから、人間生身の関係を作るのが苦手、社会性が育たない、自分中心になりがち、あるいは自分で全能感を持つようになり、世界の中で自分が中心であるかのような錯覚にとらわれるとか、いろんな問題が起こってくるわけです。
逆に言えば、親や地域の愛情や視線や包容力、その関係性がいかに希薄になっているかということの裏返しなのだと言う。今の少子化の世代、あるいは夫婦共稼ぎとか、さまざまな家庭と社会の状況の中で、親や地域が子に接する仕方が非常に希薄になってきて、子供が疎外され孤独になっている。そういう孤独な「誰も私の気持ちをわかってくれない」という中で、メールやサイトで優しい言葉に出会うと、まるで自分をやさしく抱きしめられたような錯覚におちいって、「この人が私の本当の気持ちをわかってくれるんだ」と、自分の心を開いちゃうんです。
ではどうすればいいのか。最近、携帯電話各社は、18歳未満の有害サイトへの接続を原則として制限するフィルタリングサービスを実施。「子供に携帯電話を持たせない」運動に取り組む町も現れた。
だが、『ネット依存』だってパソコンを取り上げればいいという問題ではない。その根底にある心の問題を解決しないと、結局みんな、どこかにそのはけ口を求めてさまようことになる。
柳田氏は言う。
そういわれても・・・。とにかく世間の風は冷たい。みんな自分の事で精一杯で、心に余裕のない人が多すぎる。現実世界のどこに行けば、やさしく暖かく包み込んでくれる人達に会えますか。こんな風に考えている私は、夢想家なのだろうか。単に甘えているだけなのだろうか。ただ規制するだけじゃなくて、子供達に何を与えていくのか、もっと楽しいことをどうやって見つけていくのかということが大切。
番組は、黒柳徹子さんが用意された質問に回答する形で、理路整然とわかりやすく進行されていた。勝手ながらQ&A形式にまとめておこうと思う。
Q.最近物忘れがひどいです。どうしたらいいですか。
記憶力っていうのは1つの回路なので、鍛えればいくらでも鍛えられるんです。
一番理にかなった方法は、あらゆる感覚を導入する事。五感に訴えかける。そうすると、どんな人でも記憶力は増強できます。例えば、英単語を覚えるんだったら、書きながら声に出して読んで見る。それから目を離して自分で思い描いて再現できるかどうか確かめる。
あと、自分の感情に訴えかけることも、一つの記憶術です。脳の感情のシステムは、記憶のシステムに非常に近い。感情にインパクトがあった事柄は、記憶に鮮明に残るものです。
Q.コミュニケーションも必要なんですって?
人間の脳にとって他人っていうのは、一番やっかいなものなんですよ。というのは予想ができない。ってことは、脳のすべての機能を総動員しないと、他人っていうのは向き合えないんです。人間ってそれだけ面白いんですね。だから確かに他人と向き合ってコミュニケーションをとるってことは、人間の脳にとって一番いいトレーニングになるんです。
Q.子供に「勉強しろ」と言ってはダメだそうですが、では勉強させるにはどうしたらいいですか?
「ほめるアスリートにならなくちゃいけない」って僕はよく言うんですけど、子供がいい事をやったらその瞬間にほめる。一週間後に「あのときお前よかったね」って言ってももうだめなんです。見逃さず「ハイ!すごいっ!」これができると大変いいです。
人間の脳の中にはドーパミンという「快感」を生み出す脳内物質があります。ドーパミンが出ると嬉しいんですね。ドーパミンが出る直前にやっていた行動が回路として強化されるという、『強化学習』というのがあります。とにかく機を逃さずその瞬間にほめると、そういう態度や習慣が身につきます。
基本的に人間の脳っていうのは、ほめること、嬉しさを感じることでしか変わらないんです。
Q.「脳を活かす勉強法
- 集中
- ものすごく集中してると、あまりにもみっともないからその姿って人に見せられないんですよ。人に姿を見せられるような勉強法はダメだってことです。なりふり構わず集中しろってことです。
- スピード
- タイムプレッシャーをかけるということ。脳っておもしろいもので、簡単すぎてもドーパミン(嬉しさ)が出ないんですね。難しすぎるとやる気なくしちゃう。難易度のダイヤルを自分で調節しなくちゃいけない。この難易度の調整さえ自分でできるようになったら伸びる。親とか先生に押し付けられたらだめ。
時間っていうのはすごく重要です。制限時間30分って書いてあったとしたら、15分ぐらいでできるかなってまず思ってみて、それでダメだったらちょっとのばす。いつも自分とちょっと契約するんです。それやるとメリハリがつくんです。- 分量
- ちょっと過酷な分量を課すんです。自分の好きなものじゃないとだめですね。勉強ってやっぱり自分が好きなものを自分のペースでやるのがいい。アスリートと同じで、勉強も自分の限界を極める。
- 信じる
- 学校の勉強も本当の学問につながってるって信じてやるんです。ドーパミンが出るときに脳が変わってる。養老孟司さんもよく言われるんですけど、「学びの最大の成果っていうのは自分が変わること。世界が変わって見えることだ。」と。こんなに楽しいことはないですよ。
Q.茂木さんは早起きだそうですね。
夜寝ている間に、脳は前日の体験を整理するので、朝起きたときには脳が整理されて非常にいい状態なんですよ。だからクリエイティブな事をやるのは朝が一番いい。そのほうが脳の働きとしては理にかなっているんです。
睡眠は、ものを記憶し整理し、それから意味が見つかるのに必要です。夜寝てるときって脳は休んでないんですよ。昼間と違うモードで働いてるんです。実はそのプロセスは夢として現れるんですね。
Q.「すべては音楽から生まれる
もともと音楽っていうのは、いわゆる音楽だけじゃなくて、すべての生命のリズムと音が音楽なので、そういう意味で言うと人間の音ってすべて音楽として聞いているし、味わってるんですよね。
音楽ってね、それを考えることによって、我々の命ってなんだろうとか、生命哲学につながっていくんです。大切なものだと思いますね。
Q.「強化回路を暴走させて才能を開花させる」とは?
自分の好きなことにアクセルを思いっきり踏み込むってこと。人から変人と言われようとなんと言われようと、好きなものは好きでもう突っ走る。
Q.「一人一個性 自分の個性を極める」とは?
もう今の時代は、一人一個性だと思わないと。インターネットの時代でしょ?一人一個性でそれの組み合わせで、チームの力を出すってのが人類の未来なので、それぞれの自分の個性を磨くっていうことが大事なんです。
Q.「他人との関係性が人生に大きな影響を与える」とは?
やっぱり他人からいろいろ学ぶことありますよ。他人と向き合うことって時には不安も感じさせるけれど、そこに飛び込まないと。人生っていうのはね、そういう他人との関係性の上に、飛び込むことが大事ですね。
茂木さんは、ご自身で出された本が難しすぎて、あまりウケないと言う。でもお話を聞いていたら、とても面白かったし、よくわかった。著書を一通りちゃっかり読ませていただいたようで、有意義な番組だった。
私も小中高と、今思えばものすごい勉強をしていた。『鶴の恩返し』とはよく言ったもので、自室にこもって、人様にはお見せできないような格好で勉強していたのを覚えている。勉強法は、偶然にも茂木さんが提唱する、『自分に時間と分量のプレッシャーをかけながら書いて覚える』やり方を取っていた。当時は我ながらものすごい記憶力だったと思っていたが、方法がたまたま良かったのかもしれない。
茂木さんは、著書の中で「あなたの脳は年齢に関係なく飛躍的に成長する」と言っておられる。私の脳は、衰えていくばかりではなかったのか。まだ鍛えることができるかもしれないなんて、朗報だ。
ただ残念なのは、私は早起きが大の苦手である。そして昔から、たぶん今でも、自分の好きなことにアクセルを踏み込めない。さらに、他人の懐に飛び込んでいく事にとても臆病になっている。その辺が、自分の克服すべきポイントなのかなあと思った。