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地頭力の時代
2008.04.03 Thu 22:36 | ドキュメンタリー | テレビ・ラジオ
 クローズアップ現代を見た。『富士山をどう動かしますか?~ “地頭力”(じあたまりょく) の時代~』というタイトルだった。

 地頭力???

 なんでも最近、”知識とは別の頭の良さ”を”地頭力”というらしいのだ。英語ではクリエイティブ・シンキング(creative thinking=創造的思考)、ロー・インテリジェンス(raw intelligence=生の知性)などと言われているらしい。
 何が起こるのか予測のできない今の時代、企業は変わった入社試験でこれまでにない人材、地頭力のある人を発掘しようとしている・・・という番組のレポートであった。関連本も色々と出てきているらしい。(「地頭力を鍛える」、「週刊 東洋経済 2008年 3/8号 『地頭力はこう鍛える』」、「Think! WINTER 2008 no.24 『地頭力トレーニング』」など) 恥ずかしながら、私はこの言葉を知らなかった。

 番組サブタイトルになっている「富士山をどう動かしますか?」は、実はマイクロソフトが入社試験の問題に出したものだという。模範解答の一つとして番組が紹介していたのは、

富士山をパワーショベルで削り、その土砂をトラックで別の場所へ移動するという前提で考えてみる。富士山の体積を約1兆㎡と見積もり、トラック1台で運べる土砂を約36㎡と見積もると、富士山全体を移動するのに必要なトラックの移動回数はおよそ300億回。よって回答は:
  『パワーショベルとトラックを使って300億回土砂を運ぶ』

しかし、私はこれを聞いて正直、つまらないなと思ってしまったのだが。スタジオゲストの糸井重里さんも「この会社だと採用されるんでしょうけど・・・」と、少しつまらなそうだった。もうちょっと、なぞなぞとか禅問答みたいな答えではいけないのだろうか??

 ほかにも、例えばヤマハ発動機が入社試験に出した問題にこんなものがあった。

『6大陸のうち1つなくすとしたらどれをなくしますか?』

この問題を出題した人事部長の橋本さんは言う。

与えられた問題に答えがすぐにないというところがミソでして、そこでいかに物事を深く論理的に考えられるかというところ、個々人の問題解決能力を見たい。

目を引いたのは、多少乱暴であっても大胆な論理で突破する回答であったという。

『オーストラリア大陸をなくす』

オーストラリア大陸は人口も少なく移住がしやすい。しかも英語圏なので移住後の人々の苦労も少ない。
『北米大陸をなくす』
北米大陸はエネルギー消費量が最も高く、環境への負荷が大きい。地球の将来のために北米をなくすべきだ。

うーん、ごく当たり前の回答に見えるのだが。
 スタジオゲストの糸井重里さんは言う。

 今の世の中ポリティカル・コレクトネス(political correctness=政治的な観点からみて差別や偏見のないこと)ですか。正しいことを言うように義務付けられている時代ですから、オーストラリアは無くてもいいなんて言うもんじゃない。でも、あえてその問題を考えるときには事情や都合を考えずに言うみたいな、そっから始めると生の思考になるんでしょうね。

なるほど、これを言ったらどう思われるだろうかとかいうことをのりこえてしまう大胆さを、一生を決めるかもしれない就職試験で学生が出せるかどうか。しかも短時間で論理的な理由づけまでできるかどうか。そこら辺が難しいのかもしれない。

 地頭力のある人材を獲得しようと、総額で20億円をかけて学生向けに一ヶ月の研修会を開いている、企業向けソフトの開発メーカーがあった。ワークスアプリケーションズ代表の牧野さんが見極めたいのは、知識や経験ではなく、それとは無縁の未知の問題を解く能力、すなわち0から1を産み出す”地頭力”だと言う。

 ”0から1”と”1から100”の大きな違いは、全く前例のないことをやり遂げられるかどうかっていうことですね。今まではそうあればいいには決まってるけど誰もやらなかった、やるのが難しくてやれなかったことをやり遂げられる、そういう人材が”0から1”。

けれども、地頭力だけでは企業もやっていけないと、糸井さんは指摘する。

 モノって、完成させていくうちに足されていくアイデアとか、実行する間も難しいこといっぱいありますから、そっちの人との共同作業だと思いますね。1から2になるとき、2から5になるときも、実は全部なにかの発想がいると思いますね。
 また、その市場があるかないかが問題ですから、ほんとに魅力のあるものを見極める市場がないところに「これは素敵ですよ」って出してもしょうがないわけで、社会の成熟と一緒に歩んでくものですから、そんなに急に0から1の人が山ほど出てくることもないし、それが受け入れられるってこともないと思いますね。

後半部分の話を聞いて、私は会社で働いていた頃に流行っていた"シーズ(seeds=種)"と"ニーズ(needs=需要)"という言葉を思い出していた。需要は待つものではない、種をまいて育てるものだ。そして社会の成熟を見極めて、製品を投入しなければいけないのだ。市場が育っていないのに投入した新製品がさっぱり売れなくて、撤退した事業がいくつかあったのも事実だ。
 ”地頭力”を持った新人を登用するのもいいが、その能力を最大限活かすためにも、市場を育てることができるような人材も同時に必要だと強く思った。

 最後に、どうやったら地頭力が鍛えられるでしょうか?という質問に、糸井さんがこのように答えていた。

 鍛えられる方法きっとあるんでしょうけど、すごく時間かかると思いますね。付け焼刃でやっても人間同士ですからバレてしまいますから。
 ”地頭力”って、やっぱり何をしてきたかということの方法の記憶だと思いますので、それを編集するかどうかですから、やってきた子はやっぱり何でも強いですよね。失敗でもね。

ここで言う”編集”は、昨日みた編集工学のことだなとわかった。他人にとっては”創造”なのかもしれないが、結局人間は自分の脳にインプットされたことを”編集”してアウトプットしていく生き物なのだろう。
 失敗でもなんでも、豊富なインプットのある子は強いのだ。

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できもしないこと
2008.04.03 Thu 08:58 | FM | テレビ・ラジオ
 以前1日だけ聞いて、パーソナリティ石川實さんの言葉に感銘をうけたTOKYO FMの「SKY」という番組が、3月で終了してしまったようだ。石川さんのブログ”放送後記”が更新されなくなってしまったのは非常に残念だ。

 石川さんの最後の記事が「それは理想論?」というもの。

人類に未来がないとしたら、理由はただ1つ。「もうダメだ」と思ってしまう事。
どうも変わりはしない。僕1人が頑張ったって意味がないと思ってしまう事。

この事は、私自身が本当に毎日実感している。

 私はうつ病になってから、「もうダメだ」としか思えなくなり未来に希望が持てなくなった。逆にまた、未来に希望が持てないから「もうダメだ」としか思えなくなった。この思考の繰り返しで、私は毎日が本当につらい。現状を乗り越えるモチベーションを、一体どこから引き出してきたらいいのかわからない。
 どんなに厳しくても辛くても寂しくても、せめて未来を夢見る心があれば・・・。頭ではわかっているのだが、どうしてもそう思えないのだ。

 これまでにも数々のいい言葉を引用されてきた石川さんのブログは、最後の最後、革命家チェ・ゲバラの言葉でしめくくってあった。

もし、我々が空想家で、救いがたい理想主義者だと言われれば、できもしないことを考えていると言われるならば、何千回でも答えよう、その通りだと
-チェ・ゲバラ

できもしないと思うことを真面目に追い求める。本当にそんな事をしていた人がいたんだ。空想、理想・・・。思い続ければいつかは夢はかなうのだろうか。思いは通じるのだろうか。

 今の私には、まだ「へぇすごいねぇ」としか思えないが、少しだけ考え方が変えられそうなヒントをもらった気がした。石川さん、お疲れさまでした。