fc2ブログ
疲労の正体
 今夜の「爆笑問題のニッポンの教養」が、非常に興味深かった。爆笑問題の二人が、『“あ~疲れた”の正体』というタイトルで、慈恵医科大学の近藤一博教授(ウイルス学・免疫学)を訪問していた。

 近藤先生は、”疲労が体内に潜むウイルスと深いかかわりがある”という事を世界に先駆けて明らかにし、さらに今は”疲れが引き起こす心の病”のメカニズムを解明しようとしているそうだ。

 具体的に近藤先生が発見したのは、唾液の中のHHV-6(ヒトヘルペスウイルス6)の数を調べることで”疲労度”を数値として測る方法であり、これは私も以前なにかのテレビでも見た事があるので、ご存知の方も多いかもしれない。HHV-6というウイルスは、それ自体が疲労を引き起こすわけではない。HHV-6は普段脳内にひっそりと生きているのだが、宿主であるヒトが疲れすぎてしまうと過労死で宿主が死んでしまうかもと、そのヒトに見切りをつけてよそに移ろうとするため、唾液の中に出てくるのだそうだ。

 先生は言う。HHV-6の数による疲労度と自覚的疲労感(VAS)との間にギャップがあると、実はすごく怖いと。本当は体が疲れているのに自覚がないと、細胞の活動停止(=休養)を指示する”疲労伝達物質”が出続けて、結果的に心不全を起こして死に至る危険性が高いのだという。これが日本人に特有の”過労死”(英語でもカロウシ)なのだそうだ。

 そして、さらに最近先生たちが発見したことには、HHV-6の中には、ヒトの疲労を察知して再活性化するときにSITH-1というタンパク質を過剰に作ってしまうものがあるのだそうだ。SITH-1が過剰にあるマウスにストレスを加えると、そのマウスはいつまでも興奮状態になってしまうことが確認されている。
 そしてヒトを調べてみると、うつ病、躁うつ病、うつ症状を伴う慢性疲労症候群の患者たちに、このSITH-1をたくさん持つ人が多いのだそうだ。
 つまり、特定のHHV-6ウイルスが、うつ病や躁うつ病の原因になる可能性がでてきたのだ。

 以下が近藤先生の考えだ。

 実は心の病だと思われていたものが、やっぱりウイルスだったと。そういうような事がわかっていくと、影響が大きすぎて危険だと言われるかもしれないけれど、
 今まで助からないとかどうしようもないと思われていたものが、少しわかるようになって、むしろ患者さんとかは原因がわかってホッとして、心も休らかになって、うまい薬ができれば治って・・・っていい方に向かっていこうというのが、僕らの考え方というか目標なんです。

このお話を聞いて、私はなんだか少しだけ希望が持てるような気がした。『ウイルスの病気なんです』 って言ったほうが、治るような気がするではないか。近藤先生ありがとう。

 ちなみに、爆笑問題の太田さんは、HHV-6の数はものすごく多いのに疲れている自覚が全くない、典型的に過労死に陥るパターンのヒトらしい。あぁ、わかる気がする。ご本人は納得していなかったが。

スポンサーサイト