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ノーベル賞フィーバー
2008.10.09 Thu 23:13 | エッセイ | 小説・文学
 一昨日は物理学賞賞、昨日は化学賞と、ノーベル賞を日本人が連日受賞していて、ニュースも大騒ぎである。理系の私にとって、日本人がこうした栄誉ある賞を受賞するという事はもちろん嬉しい。しかし、どうもひねくれものの私には、いくつか気になる事があった。

 ニュースなどでは、『これで日本の子供たちの理系離れを食い止めるかも』とか『子供たちに夢を与えましたね』などと、何かと子供にからめたコメントをしている人が多かったが、どうだろうかと疑問に思う。
 例えば、あまりお金の話はしたくないが、具体的な数字を出すと・・・

 賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億4000万円)で、南部氏がその半分を、小林、益川氏が4分の1ずつを分ける。YOMIURI ONLINEより)

つまり、小林先生と益川先生の賞金は約3,500万円ということになる。意外に少ないと思ってしまった私は、感覚が麻痺しているのかもしれない。

 そして、ノーベル物理学賞の先生方の受賞理由は、素粒子研究という、いわゆる理論物理学。机上で仮定の理論を築き、ひたすら論文で議論を戦わせる学問で、理系の世界で言う『物理屋』という人たちだ。
 益川先生は、受賞発表直後に『いや、大してうれしくない』と言っておられた。

 「だって物理屋としては、我々の言っていることは既に02年、03年の実験で確立された。それがいちばん重要なこと」Infoseek楽天ニュース

大変なのは『実験屋』と呼ばれる人々だ。現代の日本では、理工系の学生や、企業へ就職する多くの理工系のエンジニアの多くが、とにかく結果を求められる『実験屋』だと言ってもいいであろう。地道かつスピーディーで失敗のない作業が求められるプレッシャーは、精神的にも肉体的にも過酷なものだ。
 かといって、『物理屋』などの研究職に進むのも、なかなか安定した職につけないことは、以前記事に書いた通りである。

 こんな状況を反映してか、この2日でノーベル賞を受賞された4人の先生のうち、2人はアメリカ国籍である。ノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎先生の場合。

 素粒子物理学の巨人は、戦後間もなく米国へ留学。そのまま滞在したことから、頭脳流出第1号とさえいわれたことがある。若い研究者には、独立心の必要性を熱っぽく語る。「先生の影響から、なるべく早く離れ、研究室から出て行け。そうしないと大成しないぞ」
 2年間の予定だった米国留学は「帰っても生活のめどが立たない」状態。つてを頼り、シカゴ大にようやく就職口を見つけた。市民権をとったのは「研究費をとるにも不便だったし、お客さんでいたくなかった」から。
毎日.jpより)

世界から見ても、今回の受賞は「日本人の受賞」という受け取り方はされていないのかもしれない。

 「ノーベル物理学賞を日本人3人が独占した」。2008年10月8日付けの新聞各紙は誇らしげにこう報道した。もっとも、世界の有力紙を見ると「アメリカ人が1人、日本人が2人」になっている。J-CASTニュース


 益川先生は、麻生太郎首相からお祝いの電話を受けて、こうおっしゃったそうだ。

 「科学にあこがれを持つことは非常に有用。科学がすばらしいと思える環境を作ってほしい」と要望。記者から国の政策への意見を問われると、「あまり変なことを言うと差し障りがあるので」とかわした。毎日.jpより)

”技術立国ニッポン”と言っていたのはいつの時代のことであろうか。先生もいろいろと物申したい事がおありなのだろうとお察しする。



ノーベル物理学賞に南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏(YOMIURI ONLINE)
「既に実験で確立、それが重要」益川氏 (Infoseek楽天ニュース)
ノーベル賞:物理学賞に日本人3氏 驚きと喜び3倍/湯川博士の系譜(その1)(毎日.jp)
ノーベル賞:物理学賞に日本人3氏 驚きと喜び3倍/湯川博士の系譜(その2)(毎日.jp)
「ノーベル物理学賞日本人3人が独占」 欧米では「米国人1人、日本人2人」(J-CASTニュース)
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