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異形のモノに美は宿る
 今夜の「爆笑問題のニッポンの教養」は「異形のモノに美は宿る」であった。いつもとはちょっと違っていて、ひたすら絵を見て感想を語る構成になっていた。
 日本美術史の辻惟雄名誉教授は、半世紀近く日本の美を研究してきた第一人者だそうだが、「奇想」な絵を好む気さくな先生であった。

葛飾北斎:冨嶽三十六景「尾州不二見原」 西洋の「静物」を描く「美」とは異なり、江戸時代の葛飾北斎の絵などは、どれを見ても躍動感にあふれ、描写は細かくデッサンはしっかりしているのに、少しユーモラスなものばかり。太田さんなどは「日本人の絵はどっかちゃかしてるよね」とお気に入りのようだった。日本人は勤勉なイメージだが、冷静でいて実は懐の深い、好奇心の強い人種なのだそうだ。我々日本人が、このことにあまり気づいていないようだ。
 西洋の表現は「空間」を意識して描かれているのに対して、日本の絵は昔から季節の移り変わりなど「時間」を表現してきたのが特徴だそうだ。北斎の絵も、ある一瞬の時間を切り取っているが、決して死んではいない絵である。この辺がアニメ大国日本の原点なのだろうか。

 むしろ外国での評価が先だった日本の浮世絵。北斎の錦絵などは、外国へ送る瀬戸物の包装紙に使っていたらしく、外人がそれを見てすばらしいと賛美したのが、浮世絵評価の始まりだったという。「アート」という価値観を、日本人は持っていなかったのかもしれない。

どこまでアートで遊べるか
これぞメイドインジャパンの心意気


ピカソ:泣く女 太田さんは高校時代、引きこもりがちだった時にピカソの「泣く女」を見て、「なーんだコレでいいんだ」と何かがふっきれたのだと言う。絵を理解できたとかそういうことではなく、「表現なんて自由でいいんだ」という事に気づいたのだそうだ。
 それに、頭の中で顔をぐしゃぐしゃにして泣いている女の人を想像したら、リアルな絵よりも、こっちの絵の方が本当なのかもしれないね。と。
 うん。私もそう思う。私もよくこんな顔をして泣いている。

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