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舌側矯正のすすめ
2007.08.26 Sun 08:19 | 歯科矯正 | 心と身体
 思いのほか「歯列矯正」の検索でここを見に来てくださる方が多いので、その件についてもう少し書いておきたい。特に大人の歯列矯正について、私の経験と感想をまとめておく。

 私は30歳を過ぎてから矯正を始めた。理由は前回書いた通り、自分の財力で積年のコンプレックスを解決する事ができるようになったためである。またちょうどその頃、奥歯の噛み合わせがずれてきている事と、偏頭痛と三叉神経痛がひどくなってきた事を、どうにかしなければと思い始めていたのだ。

 何の気なしにインターネットで「歯列矯正」を検索していたら、最近では「舌側矯正」または「裏側矯正」という、外からは矯正装置が目立たない方法があることを知った。その名の通り、金属の装置や針金を歯の裏側につけるのだ。小さい頃から、どうもあの矯正装置にだけは抵抗があったので、これは私にとって朗報だった。(詳しくはこちらのホームページを参考にしていただきたい。)
 幸い、家からそれほど遠くない場所に専門歯科を見つけ、メールでカウンセリング予約ができたので、軽い気持ちで申し込んでみた。

 すると翌日さっそく電話があり、数日中にはもうカウンセリングを受けていた私。先生もスタッフの方も「今まで大変な思いをなさったでしょう。でももう大丈夫ですよ。絶対にきれいになります。」と、本当に自信を持ってお話をしてくださる。デジカメ撮影、レントゲン撮影、コンピュータによる診断などを無料でしてもらい、だいたいの治療費や治療期間の説明を聞いていた頃にはもう、私の心は決まっていた。

 矯正スケジュールはこんな感じであった。
歯磨きテスト
 歯磨きをした状態で医院に行き、赤い染料を用いて磨き残しがないかテストする。矯正装置がついてしまうと、どうしても虫歯になりやすいため、ここで徹底的に練習するとのことだった。合格するまで次のステップには進めない。歯磨き好きの私は一発でクリアした。
歯型作成
 矯正前の歯の写真を撮ったり(写真①参照)、歯型をとったりする。またその歯を1本1本バラバラにしてきれいに並べ直した歯の模型も同時に作成してもらい、見せてもらう事で治療に夢が膨らむ。
抜歯(1ヶ月)
 矯正歯科には抜歯の施設がないので、指示書をもらってかかりつけ医または紹介された歯科へ行く。虫歯があればこの時に治療をしてもらう。1週間に1~2本のペースで抜歯。私は親知らずも含めて6本抜いた。ちなみに抜歯はペンチとテコの原理とで力ずくで抜く。腕のいい歯医者さんだと、それほど痛くない。
矯正装置装着(1年半)
 きれいな歯の模型をもとに作られた金属の装置を、接着剤で歯に装着(写真②参照)。乾くまで20分ぐらいだったろうか。絶対に舌を歯にくっつけるなと言われ、ぶっちゃけ治療の中で一番つらい時間だった。
 装置をつけた日は、歯が痛くてうどんしか食べられなかった。
 舌側矯正だと特に発音が変になるので、発音練習表をもらって家で1人で練習をした。「あめんぼあかいなあいうえお・・・」一番言いにくかったのはサ行。「佐々木さん」が言いにくい事この上なし。
矯正装置調整(4週間に1度)
 4週間に1度医院に行き、針金を交換してもらう。先生がワイヤーとペンチで何やら工作し、矯正治療は力仕事だなと思う。調整初日はいつも痛いが、数日たつと痛みはなくなる。
 普段は毎日、自分で小さな輪ゴムを上下の歯の指示された場所に斜めにかける作業をする。そうする事で、ジリジリ歯を横に移動、および微妙に回転させるのである。これも初日は痛いがすぐ慣れる。輪ゴムをサボると治療日数が延びるだけである。
矯正装置はずし
 先生から「私はこれで完成だと思いますが、気になる点はありますか?」と最後の確認を経て、自分でも満足した状態であれば装置をはずす。これまた力ずくで接着剤をはがすのでちょっとビックリ。
 すぐに歯の写真を撮り(写真③参照)、歯型を取って保定装置を作ってもらう。
保定(2年?)
 そのまま放っておくと、また元の歯並びに戻ってしまうので、固まるまで保定装置は外せない。日中は目立たないように、透明なマウスピースのようなものをはめる(写真④参照)。夜は、噛み合わせ部分がおかしくならないように、部分入れ歯のようなものをはめる(写真⑤参照)。2年ほどで歯並びは安定するそうだが、いつまでも美しい歯並びのためには、一生保定装置を使っていてもいいそうだ。

 気になる費用は・・・歯科医院によって異なると思うが、通常の矯正治療だと50~100万、舌側矯正だとそれプラス40~50万といったところだろうか。私の医院では一回払ってしまえば、何度通院しても追加費用はナシの明朗会計であった。残念ながら支払いに保険はきかないが、確定申告の医療費控除の対象となるので、領収書を保管しておくと春にいい事がある。

 こうした3年余の矯正治療を経て、今改めて気づいたが、大人の歯列矯正はメンタルヘルスの意味合いが強いと思う。歯並びをコンプレックスに青春時代を過ごしてきた人たちの精神的苦痛は察するに余りあり、美容や健康のためというよりは、その苦痛を取り除くという目的が一番なのであろう。事実、私が通っていた歯科医院では60代の患者さんまでいたという。
 矯正歯科が通常の歯科と全く異なる点は、待合室で見る患者さんの顔が、みな一様に笑顔だということだ。そこは癒しの空間と言ってもいいぐらい、本当に不思議な場所だった。

 以下に、私の治療前後の歯の写真を添付した。あまりきれいなものではないので、見たくない方は先に進まないように。
使用前①治療前
上顎側は側切歯(2番)が奥に引っ込んでいるので、年齢と治療期間を考慮して、犬歯ではなく左右とも側切歯を抜歯。下顎側は歯が中心から1本半左にずれていて、左犬歯(3番)と右小臼歯(4番)を抜歯した。
保定装置1②治療中
歯の裏側に針金をつけているところ。奥歯には歯全体を覆うようなかぶせ物をし、そこから針金で前歯を引っ張る。奥歯の内側の金具が舌にあたり、しばしば舌に口内炎のような傷ができて痛かった。
使用後③治療後
こんなにきれいになりました。これなら笑顔で写真も怖くない。
保定装置1④日中の保定装置
歯形から作ったマウスピースのようなものをカパっとはめる。唾液が入ると完全に歯と同化するので、全くわからない。少しだけ発音しにくい。食事時にははずす。
保定装置2⑤就寝時の保定装置
夜はこの装置をつける。これなら歯軋りし放題らしい。私は歯軋りしませんよ。清潔に保つため、パーシャルデントを愛用中。

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