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キャッチボールがしたかった。
広場のすみっこでボールとグローブを持って
キャッチボールの相手を探していた。
みんなはプロレスごっこをして遊んでいた。
私はなかなかその輪に入れずに
誰かが呼んでくれるの待っていた。
「ぐりえちゃんも入れば?」
誰かが声をかけてくれた。
でも私はキャッチボールがしたかったんだ。
みんなのグローブはそこらじゅうに放り出されたまま。
私は新しく買ったグローブを握り締めて目を落とした。
「ぐりえ、プロレスはできないの」
そのうち誰かがキャッチボールを始めるかもしれない。
私は待つことにした。
ブランコに乗って待つことにした。
ブランコを一心不乱にこいでいると
待つことの寂しさも感じないから。
風が気持ちいいから。
ふと気がづくとあたりが暗くなっていた。
「またねー」「ばいばーい」
みんなが帰っていく声が聞こえる。
私は泣きそうになるのを堪えてブランコをこぎ続けた。
「ぐりえちゃんはまだ帰らないの?」
振り向くと友達の一人が
不思議そうな顔をして私を見ている。
「ぐりえ、プロレスが終わるの待ってたの」
「ええ?ブランコしに来たんじゃなかったの?」
私は言葉を失った。
寂しさと悲しさと悔しさが入り混じって
ブランコを飛び降りると訳もわからず
ボールをその子に思い切りぶつけた。
そして走った。
とにかくそこから立ち去りたかった。
追いかけてきたって逃げてやる。
しばらく走っておそるおそる後ろを振り向くと
遠くにポツンとその子の姿があった。
その子はしばらく首をかしげていたが
やがて自分の家の方へと歩き出したようだった。
それから私は毎日ブランコに乗っている。
来る日も来る日もブランコに乗っている。
雨の日も風の日もブランコに乗っている。
買ったばかりのグローブは
近所の犬にあげた。
BUMP OF CHICKEN 「アルエ」
「私は一人で平気なの!」
広場のすみっこでボールとグローブを持って
キャッチボールの相手を探していた。
みんなはプロレスごっこをして遊んでいた。
私はなかなかその輪に入れずに
誰かが呼んでくれるの待っていた。
「ぐりえちゃんも入れば?」
誰かが声をかけてくれた。
でも私はキャッチボールがしたかったんだ。
みんなのグローブはそこらじゅうに放り出されたまま。
私は新しく買ったグローブを握り締めて目を落とした。
「ぐりえ、プロレスはできないの」
そのうち誰かがキャッチボールを始めるかもしれない。
私は待つことにした。
ブランコに乗って待つことにした。
ブランコを一心不乱にこいでいると
待つことの寂しさも感じないから。
風が気持ちいいから。
ふと気がづくとあたりが暗くなっていた。
「またねー」「ばいばーい」
みんなが帰っていく声が聞こえる。
私は泣きそうになるのを堪えてブランコをこぎ続けた。
「ぐりえちゃんはまだ帰らないの?」
振り向くと友達の一人が
不思議そうな顔をして私を見ている。
「ぐりえ、プロレスが終わるの待ってたの」
「ええ?ブランコしに来たんじゃなかったの?」
私は言葉を失った。
寂しさと悲しさと悔しさが入り混じって
ブランコを飛び降りると訳もわからず
ボールをその子に思い切りぶつけた。
そして走った。
とにかくそこから立ち去りたかった。
追いかけてきたって逃げてやる。
しばらく走っておそるおそる後ろを振り向くと
遠くにポツンとその子の姿があった。
その子はしばらく首をかしげていたが
やがて自分の家の方へと歩き出したようだった。
それから私は毎日ブランコに乗っている。
来る日も来る日もブランコに乗っている。
雨の日も風の日もブランコに乗っている。
買ったばかりのグローブは
近所の犬にあげた。
BUMP OF CHICKEN 「アルエ」
「私は一人で平気なの!」
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