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冬が来た
2007.11.18 Sun 02:02 | エッセイ | 小説・文学
 冬は嫌いだ。冬生まれの私には、誕生日とクリスマスという2大イベントがある。

 小学生のとき、何故かお誕生日の人は家にお友達を大勢呼んで、誕生会を開かなければならないというルールがあった。誕生日の子供を持つ母親にとっては一大イベントで、きっと負担も多かったのだろう。誕生日の前後は、いつも母の機嫌が悪かった。一度、予定になかった友達にどうしてもとせがまれて追加で招待したら、母が大爆発してめっちゃくちゃに怒られた記憶がある。友達の人選がおかしい、母親同士の付き合いもあるのに、あの子を呼んでないのにこの子を呼ぶとはどういうことだ、と怒鳴られた。結局私は、母の人選にしたがって友達を選び直したのだったかな。別に誕生日なんて、嬉しくもめでたくもないのに、みんなに気を使わせて気分が悪い。

 クリスマスもそうだ。ミッションスクールに通っていた私にとって、クリスマスは家族と賛美歌を歌って過ごす楽しい日のはずだった。12月になるとよく、姉とアカペラで賛美歌をハモる練習をしたり、古いシーツを使って聖歌隊の格好まで作ったりして、家族だけのクリスマスパーティを楽しみにしていたものだった。だが、たいてい父の帰宅が仕事で遅く、母が怒り出し、パーティは中止。一生懸命に母のご機嫌をとった後、泣きながら寝るのがクリスマスのよくある風景だった。今年こそは今年こそはと、毎年期待して準備をしては裏切られた。クリスマスなんて大嫌い。

 初めてできたボーイフレンドに誕生日をお祝いしてもらったとき、「生まれてきてくれてありがとう」と言われた。ものすごくびっくりして泣いてしまったのを覚えている。そんな考え方があったんだ。生まれてきた意味がわからないでいたこの私に、そんな事を言ってくれる人がいたんだ。でもそんな彼も、いつしかどこか遠くへ行ってしまった。所詮、かっこいい言葉なんて信じられないんだと悟った。

 昨日から急に寒くなった。冬がきた。また嫌な季節がやってきた。
 BUMP OF CHICKEN の 「スノースマイル」 冬によく合う名曲だ。大好き。


最後まで聴いて欲しい。これは悲しい歌だ。

僕の右ポケットに しまってた思い出は
やっぱりしまって歩くよ 君の居ない道を

冬は孤独がよく似合う。

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