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お子様たち
2007.11.24 Sat 09:54 | エッセイ | 小説・文学
 一昨日、横浜でこんなニュースがあった。

神奈川県警:「平手打ち巡査長」を戒告処分

 神奈川県警監察官室は22日、電車内で高校2年の男子生徒(16)を平手打ちし逮捕された県警大和署のK巡査長(34)を戒告処分にした。県警旭署は同日、巡査長を傷害容疑で横浜地検に書類送検した。
 県警によると、巡査長は9月4日午後10時55分ごろ、横浜市旭区の相模鉄道二俣川駅に停車中の電車内で、拳銃型ライターを撃つまねをしていた生徒を駅員が注意しているのを目撃。生徒はライターをかばんにしまったが、巡査長は下車した鶴ケ峰駅で生徒の髪をつかみ「さっきのものを出せ」と言ってライターをその場に捨て、生徒の顔を3回平手打ちした。生徒は1週間のけが。巡査長は傷害容疑で現行犯逮捕され翌朝釈放された。(毎日.jp

 この県に関しては、4484件の意見が県警に電話やメールで寄せられたそうで、その大半は巡査長を擁護する内容だったという。
 この高校生がどういう態度だったのか文面からは不明だが、最近の電車の中での、特に高校生のマナーの悪さは目に余る。帰宅時間帯に通学電車に乗ると、通路のあちこちの地べたに高校生がどっしり座っていて、歩くこともままならない。こちらが頭を下げて「すみません」と言って通してもらわなければいけない程だ。
 しかも注意しようものなら逆切れされて、絡まれたり殴られたりするのはこっちの方だ。偶然ナイフでも持っていたら、刺されるかもしれない。そういう世の中だ。気の弱い大人たちはみな、言いたいことも言えずひたすら我慢をして小さくなって、肩身の狭い思いを強いられてきたのだろう。だからこそ勇気のあるこの巡査を「許してあげて」という声が多かったのもうなずける。

 なぜ今の日本では子供が一番偉くなってしまったのだろうか。なぜ躾もロクにできない世の中になってしまったのだろうか。なんとなく、動物殺生を慎むようにとの思いで作られた徳川綱吉(犬公方)の「生類憐れみの令」を思い出してしまった。あれは確か法令が一人歩きしてエスカレートしてしまい、動物虐待の監視や処罰が厳しくなっていったのだ。密告を恐れるあまり民衆たちから不必要に丁重に扱われる事になった『お犬様』。今の『お子様』たちの作られ方は、それと全く同じ構図に見えて仕方がない。まったく笑い話である。

 それと最近気になるのだが、メディアの姿勢も少し極端な気がする。大きい組織は叩きやすいのか、ほとんど全てのメディアが公務員の悪口ばかりを報道する。教師、警察官など、昔だったら「聖職」と言われ尊敬されていた立場の人たちが、いまや「人の税金で生活してるくせに」とバカにされている。親がバカにするので子供もバカにする。もう少し色々な報道姿勢があってもいいのではないだろうか。いい話を中心に報道するメディアがあってもいいのではないだろうか。
 余談になるが、戦争に負けて教育が変わったからか、今の日本人は自分の隣人も、自分の国すら愛せなくなっているように思う。「他人を思いやる」という儒教の精神が消え、欧米の個人主義の真似事だけが残った。自分、自分、自分、お金、お金、お金。何かが狂っている。欧米にはキリスト教が根底にあるから、個人主義が許されているのだ。自分を大切にするのは、他人に奉仕するためという本質を忘れないでほしい。

 ちなみに戒告処分とは

公務員の職務上の義務違反に対する懲戒処分(他には免職・停職・減給がある)の中でも一番軽く、職員の服務義務違反の責任を確認し、その将来を戒める処分をいう。具体的には所属長に呼び出され直接説諭される。譴責。(はてなダイアリーより)

よかった。上述の巡査長はクビにはなっていなかったのだ。暴力は決して誉められたことではないが、この巡査長にはこれに懲りず、これからも正義感あふれる勇気ある警察官でいて欲しい。

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