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みんなの憲法入門
 今夜の「爆笑問題のニッポンの教養」は「みんなの憲法入門」というテーマで、憲法学の長谷部恭男教授を訪ねていた。

 そもそも『憲法学』では何を教えているのか?

人と言うのはいろいろな考え方をするということ。
世の中には色々違う考え方があるんだって認めようじゃないかということ。

 なんだか意外と道徳的な普通のことで驚いた。
 普段は、それぞれの人が自分がいい事や大事だと思う事を自由に生きている。ただ、それでは社会生活が成り立たず、みんな(公共)にとって大事だと思うことも他方である。それぞれの人が一番大事だと思うことにあまり触らないようにして、みんなにとって大事だと思うことも何とかうまくやっていく。それが憲法なのだそうだ。
 だが先生は冷静に、こうも言う。

でも人間っていうのは、自分が大事だと思うことは人も大事だと思ってもらいたい、世の中には色々な考え方や価値観があることを認めたくない、と思っていると思いますよ。

私は耳が痛かった。頭では人の価値観はさまざまだとわかっているのだが、本心を言うとおっしゃる通り。やはりどうしても自分が一番正しいと思ってしまうのだ。自分の気持ちをわかってもらいたい共感してもらいたいと思ってしまうのだ。そしてみんなが大なり小なりそう思っているから、小さなイザコザがあちこちで生まれ、生きにくい世の中になっているのだろう。
 長谷部先生いわく、憲法は、にもかかわらず価値観は色々なんだと認めるようという”無理”をお願いしているようなものなのだそうだ。だから学問というより芸に近いと先生は言う。

 爆笑問題の太田さんが悩みを打ち明けた。

 僕は憲法九条を変えないほうがいいと言ってたりするんですが、ちょっと怖いのは憲法に思想は入れたくない。でも俺が言ってるのは思想じゃないか?もし国民投票で多数決で決めるってなったら、大衆を洗脳していくっていう事が起こりうる。

これは、憲法学的には『集団偏向現象』というそうだ。

集団偏向現象(Group Polarization)
もともと同じような考え方を持っている人をある一所に集めて、他の情報から遮断してしまい、同じような考え方の人の間だけでどんどん話をすると、当初もっていた傾向がどんどん過激化していく現象。

そういうときに一番いいのは、情報を遮断しないで他の違う情報も入れてあげること、世の中には他の考え方の人がいるんだとまずわわかってもらうのが、一番いいことだと長谷部先生は言う。
 うーん。難しい。だって自分と似たような意見の人の話は聞きやすいし、読みやすい。他の違う情報を自ら取り入れるのは、とても難しい。私がこうして毎日同じようなブログを書いて、何となく意識を高めているつもりになっているのも、一人偏向現象のようだ。ひょっとしたら、どんどん思考が過激になっているのではないか。

 爆笑問題の田中さんから、「世界が一つの国になることはあるのか?」という質問があった。私はいい事を聞くなぁと思った。昨夜のNHKスペシャルで宇宙飛行士たちの話を聞いて、究極の理想は、国境のない地球でみんなが平和を願いながら一つになって暮らすことだと思ったばかりだったからだ。しかし長谷部先生の答えは意外なものだった。

仮にあったとしてそれが今よりもよい世界なのかどうなのか不明である。カントに言わせると、そういう社会はあまりよくない社会だ。一つの政府によって支配されるという国は、特定の人生観や特定の価値観を、あらゆる人に押し付ける政府になる可能性がある。

そう言われればそうだ。そんな社会はいやだ。集団には支配という力が付き物なのだろうか。悲しい現実である。

 最後に印象に残った先生の言葉を書きとめておく。

憲法って言うのは何を教えるかより何を教えないかっていう事が重要。人はどう生きるべきなのかという事は、憲法は教えない。それは各自で決めてください。各自で考えてください。

とにかく大事な事は、最後の判断は各自の問題だと、長谷部先生は言う。常に法律を疑っていくことと信じていくこと、両方ないといけない。「憲法は自分の責任で信じ疑え。」

 いつも何かしら組織に属し、その中で言われる通りに疑うことなく決まりを守って生きてきた私にとって、とても考えさせられることが多かった。私の価値観ってなんだろう。私の人生観ってなんだろう。誰かに教えてもらわないとわからないかも。

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