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永遠の入り口で
vincent-van-gogh-final-paintings-8.jpg「Old Man in Sorrow (On the Threshold of Eternity) 」
by Vincent van Gogh
 ゴッホの「悲しむ老人」。サブタイトルは「永遠の入り口で」とも訳すのだろうか。ネットでこの絵を見て、今の私のようだなと思った。少し調べてみたら、ゴッホが自殺する数ヶ月前に描かれた絵だとわかった。

 ゴッホは1890年5月、当時入院していた精神病院を出て、彼のよき理解者であり内科医の友人が住むフランスへと移住して、再び筆をとる。そこで彼は、1ヶ月半で30枚以上もの絵を描いた。特に、郊外の麦畑は彼の心を癒すお気に入りの風景だった。

 だが、ある日ゴッホは、弟のテオにこんな手紙を出した。

"There are vast fields of wheat under troubled skies, and I did not need to go out of my way to express sadness and extreme loneliness."
憂鬱な空の下には、広大な麦畑が広がっている。そして僕は気づいた。悲しみとか激しい孤独感とか、無理してまで表現する必要なんてなかったんだ。

この言葉の本当の意味が明らかになるのは、それから約1ヵ月後の事だった。1890年7月27日、ゴッホはキャンバスを置いた麦畑で、猟銃自殺をした。37歳。わずか10年という短い画家生活であった。

 この絵は、”すべての人類は不安に耐えながら生きている”という彼の思いを表現していると同時に、ゴッホ自身のうつ状態を反映している”自画像”だとも言われている。伝えても伝えても伝えきれない孤独感。無力感。絶望感。描けば描くほど、ゴッホは悲しくなっていったのではないだろうか。

 私はこの絵を見ると、涙が出る。他人には見せられないが、私もほぼ1日中こういう格好をしているからだ。最近は、ブログをやめようかなと思ったりもする。いくら言葉を重ねても、どうしても自分の気持ちを正確に表現することはできないと気づいたからだ。たとえ正確に表現できたとしても、他人にそのまま伝わる事はまずない。こうして文章を書くことで、私は、持て余し気味の負の気持ちを、果たして軽減することができているのか。かえって悪化させているのではないか。

 でも希望もある。うつカテゴリーの記事に拍手をくださる方々、本当にありがとうございます。私には、わずかにでもうなずいてもらえているように感じる事ができる。数は少なくても、この世の中には私の理解者だって探せばいるんだと思うこともできる。

 なんだか考えがまとまらないので、今日はここまで。


参考:HowStuffWorks, "Vincent van Gogh Final Paintings"
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