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録画していた3/2放送の「NNN ドキュメント'08」の『塀の中の要介護者』を見た。
番組は、福岡刑務所の一角にある「病棟」に密着していた。寝たきりの人、自分で食事さえできない人、介護に追われる刑務官・・・塀の中は行き場のない高齢者達であふれていた。福岡刑務所には介護が必要な受刑者が約40人もいて、職員だけでは手が回らない。そこで、受刑者の介護をするのもまた受刑者たち。病棟で身の回りの世話をするこうした「看護係」も刑務作業の一つだという。
高齢者の犯罪のほとんどは、万引き、置き引き、無銭飲食といった軽犯罪だそうだ。全国で検挙された高齢者は15年前のおよそ6倍にも膨れ上がっている。塀の中の高齢化は社会全体をはるかに上回る勢いだ。
看守長の川内さんは言う。
服役中に、親族から縁を切られる受刑者も少なくない。そんな高齢受刑者を塀の外で待ち受けているのは、社会からの孤立と生活苦だ。
昨年、全国8つの刑務所ではじまった新たな試みとして、非常勤職員として社会福祉士を採用した。社会福祉士は、出所しても身寄りがなく収入もない受刑者のために、病院や障害者施設を探す。
社会福祉士の森下さんは言う。
刑務所を出所しても行き先のない人が社会復帰に備える場所として、「更生保護施設」がある。民間団体が寄付金で運営するもので、彼らはここから仕事にでかけ自立のための資金を蓄えるたくわえるのだ。
ある69歳の元受刑者は、年齢のせいで仕事がなかなか見つからず、施設の裏庭の草むしりをして施設から小遣い程度のお金をもらっていた。だが施設にいられるのは最長で半年。新しい人生の準備をする「更生保護施設」も、高齢者にとっては雨風をしのぎ空腹をしのいで終わる半年間で終わってしまった。
9,000円をもって、行く当てもなく施設を出たこの男性は、2ヵ月後スーパーで万引きをしてまた逮捕された。
このドキュメントを見ていたら、なんだか刑務所のほうが、社会より手厚い保護があるようにすら感じてしまった。よく年末になると高齢者の軽犯罪が増えるのは、年越しをひもじく迎えたくないためにわざと刑務所に入るようなことをするのだ、とウワサに聞くが、こうした現実を見ると気持ちがわからなくもない。
だが、受刑者たちはみな、本当は社会で自由に生きたいのだ。ある受刑者は言う。
一年前から、法務省と厚生労働省が連携して、出所した人たちの就労支援に乗り出すようになり、保護監察官とハローワーク職員が受刑者の職探しをサポートしてくれるようになったという。だが高齢者の再就職は実際なかなか厳しい。あとは私たち社会で何事もなく普通に暮らす若者たちの、高齢者に対する意識改革も必要なのではないだろうか。自分達のすぐ先の姿なのかもしれないのだから。
番組は、福岡刑務所の一角にある「病棟」に密着していた。寝たきりの人、自分で食事さえできない人、介護に追われる刑務官・・・塀の中は行き場のない高齢者達であふれていた。福岡刑務所には介護が必要な受刑者が約40人もいて、職員だけでは手が回らない。そこで、受刑者の介護をするのもまた受刑者たち。病棟で身の回りの世話をするこうした「看護係」も刑務作業の一つだという。
高齢者の犯罪のほとんどは、万引き、置き引き、無銭飲食といった軽犯罪だそうだ。全国で検挙された高齢者は15年前のおよそ6倍にも膨れ上がっている。塀の中の高齢化は社会全体をはるかに上回る勢いだ。
看守長の川内さんは言う。
60歳以上の平均入所回数は9.3回というのが現状です。希望を持って出て行く人はいるんですが、やはり受刑者に対する世間の風当たりというのは、元受刑者ということでラベリングされるんですかね。そういったところでかなり厳しさを感じて挫折する。若い人であればそういった挫折を乗り越える力はあるんですが、「厭世観」が強いということで常に逆戻りしてしまうんです。
服役中に、親族から縁を切られる受刑者も少なくない。そんな高齢受刑者を塀の外で待ち受けているのは、社会からの孤立と生活苦だ。
昨年、全国8つの刑務所ではじまった新たな試みとして、非常勤職員として社会福祉士を採用した。社会福祉士は、出所しても身寄りがなく収入もない受刑者のために、病院や障害者施設を探す。
社会福祉士の森下さんは言う。
医療が必要な受刑者が出所したときに、そういったその人たちを救うための法律が今のところないのかなって思います。その法と法の間にスポンて闇の中に落とされてしまう。施設入所するにしても、その費用をどこが見ていくのかというところでまず問題が出てきますし、引受人がいないという状況で入院させたはいいけど、その方が万が一なくなった場合どこが最終責任をもつのかっていう問題とか・・・・いろんな問題が出てきてますよね。
刑務所を出所しても行き先のない人が社会復帰に備える場所として、「更生保護施設」がある。民間団体が寄付金で運営するもので、彼らはここから仕事にでかけ自立のための資金を蓄えるたくわえるのだ。
ある69歳の元受刑者は、年齢のせいで仕事がなかなか見つからず、施設の裏庭の草むしりをして施設から小遣い程度のお金をもらっていた。だが施設にいられるのは最長で半年。新しい人生の準備をする「更生保護施設」も、高齢者にとっては雨風をしのぎ空腹をしのいで終わる半年間で終わってしまった。
9,000円をもって、行く当てもなく施設を出たこの男性は、2ヵ月後スーパーで万引きをしてまた逮捕された。
このドキュメントを見ていたら、なんだか刑務所のほうが、社会より手厚い保護があるようにすら感じてしまった。よく年末になると高齢者の軽犯罪が増えるのは、年越しをひもじく迎えたくないためにわざと刑務所に入るようなことをするのだ、とウワサに聞くが、こうした現実を見ると気持ちがわからなくもない。
だが、受刑者たちはみな、本当は社会で自由に生きたいのだ。ある受刑者は言う。
昨年、刑務所で息を引き取った60歳以上の受刑者は、全国で169人に上る。ナレーションが胸にひびいた。やっぱりシャバがいいです。シャバの空気と自由。自分は鳥が好きなんですよ。パンをやったら飛んで芸をする食べる。それを見たらシャバがいいなと思う。
自分が言いたいことがシャバで、自分も悪い面もあるけど、わかってもらえないのが一番つらい。わかってほしいという思いもあるんです。
確かに罪を犯すことは悪い。だが、ただ一度の失敗や挫折から転落してしまった人生には、復活するチャンスはないのだろうか。刑務所がよりどころになってしまった人たち。
身を寄せる陽だまりはここにしかないのでしょうか。
一年前から、法務省と厚生労働省が連携して、出所した人たちの就労支援に乗り出すようになり、保護監察官とハローワーク職員が受刑者の職探しをサポートしてくれるようになったという。だが高齢者の再就職は実際なかなか厳しい。あとは私たち社会で何事もなく普通に暮らす若者たちの、高齢者に対する意識改革も必要なのではないだろうか。自分達のすぐ先の姿なのかもしれないのだから。
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