fc2ブログ
けん玉が癒す心の傷
2008.03.17 Mon 14:21 | ドキュメンタリー | テレビ・ラジオ
 昨夜放送していた「NNN ドキュメント'08」の『もしかめ先生~けん玉が癒す心の傷~』を見た。

 名古屋市内にある通信制サポート校。この学校に通う生徒の8割が、かつて不登校に苦しみ学校をやめた経験をもつという。子供達の一度傷ついた心をいやすのは容易なことではないが、新任の生物教師、窪田保さん(26歳)は、それを何とか解きほぐしてやりたいと考えていた。

物とか情報とかすごくこう・・・あふれすぎて、敏感にならないと周りに取り残されちゃうみたいに思ってしまうんじゃないか。すごく深刻に捕らえてしまうと、どうしていいかわからない、話をしてほしい、振り向いてほしいから自傷行為などにおよぶのか。

 そんな窪田さん自身も笑顔を忘れてしまった時期があった。中学高校と柔道ひとすじ、夢をもって進学した大学1年のとき不運にも腰を痛めてしまい、柔道をあきらめなければならなかったのだそうだ。人生初めての挫折に、ショックと脱力感とものすごい不安、そして『なにかしなきゃ・・・』という焦りに襲われたという窪田さん。そんなときふと目に入ったのが、部屋で埃をかぶっていたけん玉だったそうだ。

気づいたら何時間も触ってました。何かやりたいっていうか、打ち込めるものが欲しい。で、今触ってるけん玉は、すごく楽しいしやりたいなって思うようになってきた。

ここからが、並みの人間と違うところだ。窪田さんはやがて、大学初のけん玉サークルを立ち上げ、大学3年生の夏休みにはけん玉50本をリュックに背負って全国行脚。大学4年生で、「もしかめ」という技で前人未到の連続8時間という世界記録をうちたてた。

 私もなぜかマイけん玉を持っている。中学ぐらいのときに、父が買ってくれた競技用のけん玉だ。男の子がいなかった我が家では、私が父の遊び相手だった。父はそのけん玉で、自慢気に技を披露してくれた事を覚えている。(ほとんどが失敗していたが。) もちろん「もしかめ」もやった。「もしもしかめよ~かめさんよ~♪」と唄いながら、玉を大皿(横の大きいほう)と中皿(おしりの皿)に交互に移動させるものだ。
 wikipediaで「けん玉の技の一覧」とか見始めたら、止まらなくなってしまった。「飛行機」とか「世界一周」とかやったなぁと、懐かしく思い出す。そう、けん玉は、それほど熱中する遊びなのだ。

 窪田さんは、教室に50個のピカピカのけん玉を持ち込んだ。日頃はTVゲームを器用にこなす子供達。けん玉なんて古い遊びと最初はバカにしていた彼らも、やってみるとこれがなかなか難しい。いつになく真剣なまなざし、そして技ができたときの笑顔。「楽しかった!」と喜ぶ顔。
 窪田さんが生徒達に伝えたい気持ち、それは技が1つ決まる喜び、そしてその小さな積み重ねがやがて自信になるという事だったのだ。

 窪田さんが学校側にかけあって、昨年10月からはけん玉が正式に学校の選択授業になった。けん玉授業を選択して続けてきた子供達は、少しずつ気づき始めていた。失敗しても投げ出さない。あきらめなければいつかは成功するという事を。そして人前で技を見せたり、小学生にけん玉を教えたりする機会を通じて、いい緊張感を感じ、成功したときの達成感を感じ、自分の成長を感じ、仲間のありがたさを感じ、さらには自分達が必要とされていることを感じていた。

 番組は、こんな印象的なナレーションで終わっていた。

 3年前は朝起きる理由さえ見つからなかった生徒達。けん玉がくれたのは、努力の先に待っている喜びと、仲間の存在でした。

けん玉やりたくなっちゃったな。実家に探しに戻ろうかな。

Secret

TrackBackURL
→http://sweetacorn.blog108.fc2.com/tb.php/667-293a0a0c