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脳はだまされやすい
2008.03.21 Fri 01:10 | エッセイ | 小説・文学

むかし長嶋(茂雄)さんは、試合中に後ろに行ってイメージトレーニングの素振りをしたら、もう試合が終わったと思ってお風呂に入って帰っちゃったらしいんですよ。

突然だが、こんな”伝説”を思い出した。
 「爆笑問題のニッポンの教養『スポ根なんていらない』」の回で、スポーツ心理学の高妻容一先生が言っていた”伝説”だ。
 自分が思い込めば、作り話でも本当に体験したかのうように思えるといういい例だ。それほど人間の脳はだまされやすい。記憶なんて危ういものだ。

 また、この前やはりテレビで知ったことだが、認知症ぎみの人は嘘をつくのが症状の1つだという。べつに人をだまそうと思っているわけではない。病気のせいで記憶が欠落してしまった部分を、無意識に脳が補間して話を作ってしまうのだそうだ。自分でも気づかない間に。

 今、私が持っているさまざまな記憶。どれが本当で、どれが作り話なのかわからない。親に嘘をついて行った旅行なんて、写真もないし、嘘の記憶の方が大きすぎて、早くもどっちが本当の記憶なのかあいまいになっていたりする。それってすごく悲しい事だと思った。
 そういう風に自覚していればまだいいが、つい昨日の出来事だって、自分ではちゃんと覚えているつもりなのに、それが本当に起こった事だという保証はどこにもない。他人の記憶だって当てにならないし、それを証明するものは何もない。
 
 過去のできごと、すべてが嘘のように思えてきた。そんな不確かな過去にすがって泣いたり悔やんだりしていることが、とても無意味なことに思えてきた。
 人間は、今、この目で見てこの手で触れるものだけを信じるしかないのかもしれない。そして、自らの力で切り開いてゆく未来を信じることしかできないのかもしれない。まあ、キレイごとだけど。

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