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アスファルトの世界
2008.04.26 Sat 09:22 | | 小説・文学
私はタンポポの種

綿毛をもらって仲間たちとふわふわ飛び出した
自慢の綿毛が太陽に照らされて光ってる
これからどんな未来が待っているんだろう

上昇気流にのって 仲間たちと離れ離れになってゆく
風に吹かれて 仲間たちと離れ離れになってゆく

それでも寂しくなんかない
私は自由だ!大声で叫びたくなった

やがて風がやんで 私は見知らぬ土地に舞い降りた
ここが私の新天地

けれども少し様子がおかしい
地面が固い水がない 苦しいよ苦しいよ
そこはアスファルトの上だった

だんだん乾いていく体
ときおり通り過ぎる車の風圧で
わずかに場所の移動ができる

でも違う ここじゃない ここでもない
私の居場所はどこなんだ 根を下ろす場所はどこなんだ

そして雨が降り 自慢の綿毛はなくなった
もうわずかな風圧では 移動する力もない

仲間たちは今どこにいるんだろう
あんなに高く上がらなければ
もっと近くの草原に根を下ろしていたのかもしれない
でもあの日大空から見下ろした風景
きっとみんなはアレを知らない

それでいいじゃないか それで十分だ
もう疲れたよ

  :

いつしか再び太陽が出て 体が軽くなってきた
近くに土の匂いがした
一歩・・・あと一歩だけ横に動ければ 
そこに根をおろすことができるかもしれない

その時はきた
一台の車が通り過ぎて 少しだけ飛んだ私の体は土を捕らえた

久しぶりに味わう土の感触
ああここだ 私が求めていたのはここだったんだ

NEC_0014.jpg

ある日 おじさんがやってきた
「まったく タンポポってやつは こんなとこにも咲きやがる」
おじさんは乱暴に私を引き抜いた

私は一般ゴミに出されて 燃やされた

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