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制御不能な私
2008.05.24 Sat 13:22 | 摂食障害 | 心と身体
 TBSの深夜番組「R30」を見た。途中のコーナー枠に、精神科医の香山リカ先生が提供するマンスリー企画が始まった。

現代社会と言うのは、女性が自由で生きやすい社会のように思われていますけれども、実は女性にとっては、非常に厳しい行きにくい社会という風に考えられます。


 昨夜はその第一夜。『制御不能な私』と題して、摂食障害に陥った女性たちの話を特集していた。摂食障害とは、拒食症や過食症に代表される”依存症”の一種である。拒食症と過食症はまったく正反対の病気のように感じるが、実はどちらも心の葛藤が原因で起きる同じ病気なのである。近年、患者数は増加傾向にあり、その多くは10代~30代の女性であるという。

 その中の一人、千葉に住むリエさん(26)は、中学1年のときから現在まで、14年間で14回もの入退院を繰り返し、今でも食べることを拒み続けているそうだ。
 初めは軽い気持で始めたダイエットだったが、着実に減っていく体重と、そのことで得られる達成感。リエさんにとってはその喜びにかえられるものなどなく、途中から水を飲むのも怖くなるなど、もはやダイエットと呼べるものではなくなっていた。154cmで47kgあった体重が、ひどいときには27kgにまで落ち込んでしまったという。

 当時を振り返ってリエさんは話す。

 人間関係とか上手じゃないので、仲のいい友達とかできなくて、結構孤立してたことが多かった。痩せていて小さくなっていれば、一人でいても目立たないし、学校ではとにかく存在したくなかった。いなくなりたかった。
 小さい頃から自分がなかった。摂食障害が私。自分のアイデンティティ。
 じゃあ、病気じゃなくなったら私はどうなっちゃうの?

摂食障害は単にダイエットの延長ではなく、制御不能な心の病なのだ。

 私も”うつ”という心の病を経験してみて、とてもリエさんに共感する。病気だけが自分のアイデンティティという考え方。治りたくないと思う気持ち。症状の形は違えども、制御がきかなくなってしまう自分自身という意味では、心の病はみな共通している何かを持っているように思う。
 本当の原因はなんなのだろう?どうしたらその辛さが和らぐのだろう。

 NPO法人『タンポポの会』の代表であり、カウンセラーであり、自らの長女も摂食障害に苦しんだ経験を持つ麻生洋子さんは言う。

 食べられないという事がわからなくて、勝手に自分で食べなくしてるんじゃないか?私への嫌がらせで食べないんじゃないか?と思ってたんで、食べさえすれば治るって思ってました。
 けれども入院先のカウンセラーに指摘されて、それはとんでもない間違いだと気づかされました。
 3つ下の弟がいたのですが、弟がやんちゃで、いつも弟の方に目がいっていました。本当は甘えたくてしょうがなかった。お母さんこっち見てと言うメッセージを拒食症という形で表していたのです。

それは長女の、命がけのメッセージだったのだ。(『娘の拒食症をこうして治した!』)

 第一夜はこんな言葉で締めくくられていた。

摂食障害を理解することが、彼女たちを救う唯一の手立てなのかもしれない。


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