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植木はジャマですか
2008.06.27 Fri 23:04 | 日記 | 日記
 母から電話があった。
 警察の総務課の人から連絡があり、実家の植木がスクールゾーンの標識を隠していると、PTA関係の人から苦情があったのだと、凹んでそして怒っていた。
 昨年も自治会長さんのところに同様の苦情があったらしく、母は植木屋さんに事情を説明して切ってもらい、市役所の土木課の人を呼んで確認までしてもらったのだ。かわいそうに、植木はその部分だけバッサリ凹んだ妙な形に切られてしまった。それからも母は、植木が外にはみ出ていないか神経質なほど気を使っていた。
 それなのにまた今年も・・・。警察の人が言うには、その苦情主は今年は自治会長や市役所には門前払いを食らったらしく、行くところがなくなって警察に連絡をしてきたのだという。

 世の中には面白い人がいるものだ。きっとその人は、スクールゾーンの標識を見回る仕事をおおせつかって、結果を出さなければいけない立場だったに違いない。成果主義の世の中だ。「特に何もありませんでした。」では評価されない世の中だ。「1件通報しておきました。」と報告をしてこそ、その人の存在価値が出るというものだ。そうとでも思わないと、やってられない。

 そういえば私がいた会社でも、暇な部門の人たちがいた事を思い出した。忙しい開発の居室を見回っては、誰の机が汚いだの、ゴミ箱のゴミが捨ててないだの、写真を撮っては通報してきた。そんなに暇だったら、ゴミぐらい捨てていってくれればいいものを、何一つ手はださない。証拠写真だけ撮って帰った。指摘された人の机は、確かに一般的に見れば汚かったのかもしれないが、実はその人なりに整理されていて、全部必要な書類だったのだ(と本人は言う)。
 後日、見回りの人から、『自分たちの呼びかけで職場環境の改善が行われた』と、写真つきの報告があった。そのせいで、開発が半日止まってしまった事には誰も触れなかった。成果主義なんてそんなものだ。誰かを犠牲にして、誰かが手柄をたてる。

 とにかく世間体を気にする母は極端に凹み、私に電話をしてきた。勢いあまって自治会長を逆恨みし、悪口までをも言い始めていた。黙って聞いていた私は精神的にまいってしまい、1時間の電話を切ったあと少し疲れて寝た。
 ただ、近いうちにわざわざ警察の人が来てくれるらしいので、『せっかくだから、”変な人に目をつけられて困っているんです”ぐらい訴えてやれ!』とだけ言っておいた。今はなんでも言ったもん勝ち、訴えたもん勝ちの世の中らしいから。

 それにしても、言いたいことがあるなら本人にやんわり言えばいいものを、なぜその苦情主はいきなり行政に訴えるのだろう。ご近所付き合いのトラブルは、いかに普段からコミュニケーションがとれているかが問題の根底に潜んでいるというが、顔が見えない匿名での苦情なんて、コミュニケーションも何もあったものじゃない。道を歩くすべての人が、もしかしたら我が家に敵意を持っているのではないかと怖くなってしまう母の気持ちもわかる。
 二十数年もの間、毎日早起きをして道路掃除を続けてきた母が、とても不憫に思えた。

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