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疲れる私
2008.07.01 Tue 09:21 | アダルトチルドレン | 心と身体
 とても疲れている。なぜかとても疲れている。

 昨日の夕方、母から電話があった。実家の植木の件(6月27日の記事参照)で凹んでいた母だったが、ここ数日はお隣さんやご近所のお馴染みさんと立ち話をしているうちに、かなりの人に愚痴をこぼしては慰めてもらっていたらしい。そして昨日おまわりさんが来て、『大丈夫ですよ。』と味方になってくれたそうで、急に元気になって電話をしてきたのだった。

 『いろんな人に気づいてもらって励ましてもらってよかったね。』と言ったら、『自分から言ったのよ!だってそうするしか他にないじゃない!』 その言葉に、私は自分が責められているような気がした。電話で母に窮状を訴えられても、何もしなかった私が責められているように思った。病気になったからと言って母や他の人に助けを求めずに、家にひきこもっている私が責められているように思った。

 それから躁状態になった母は、1時間半以上しゃべりつづけた。その時、オンラインゲーム内に友人を待たせていた私は、本当は用件がすんだら電話を切って欲しかったのだが、どうしてもその一言がいえなかった。”オンラインゲーム”とか”ネットの友人”の方を優先するなんて、口が裂けても言えないと思った。
 これまでに何度も聞いたことのある、20年前や30年前の”母が嫌だった事”を繰り返し聞かされながら、私は『うん・・・うん・・・』とだけ返していた。何か口をはさんだら余計に話が長くなるので、意識して『うん』しか言わないようにしていたが、それでも母の話は止まらなかった。

 そういえば昔、同じような状況で私は受話器を持つのも疲れてしまったことがあった。私はパタリと床に倒れたまま受話器を放置してしまったのだが、1分ほどしてからまた受話器を耳に当てると、まだ母がしゃべり続けていて、笑ってしまったというか悲しくなり、そして怖くなった事を思い出した。そのときは、母が突然『生返事しかしない!』と怒り出し、遠方に住む姉にまで言いつけ、数ヶ月間その事についてネチネチと嫌味を言われた。
 そんな事もあって、私は母の機嫌を取るために、あいづちを打たないわけにもいかないのだった。

 母は、昨日も突然気がついた。『ちょっと!寝ちゃったの?』と詰問口調になった。けれどもそのときの私は、座っていることもできないほど疲れていて、床に転がっているような状態で、カラ元気を出すこともできなくなっていた。『ううん、起きてるよ・・・』と返すのが精一杯。
 私が起きていることを確認した母はまたしばらく話を続け、夜ご飯の時間になりそうな頃ようやく電話を切ることができた。

 待たせていたネットの友人にも悪いと思った。母親の電話も切れない私なんて変に思われるのではないかと思い、何もなかったように明るくふるまった。これまでも友人、特に男性の友人に母の事を言うと、『寂しいんだよ』とか『心配してくれてるんだよ』などともっともな事を言ってくれる人が多かった。私が悪いのだ。母の気持ちをくんであげられない私が悪いのだと思うってしまう。だから私は、あまり他人に母の悪口は言えない。
 
 数日前の「ETVワイド ともに生きる」という番組で、”子ども虐待”について見た。虐待は暴力的なものというイメージがあって私には無縁なものと思っていたが、実はそれは精神的な問題だった。番組で紹介しているメールや出演者の話を聞くと、子供の頃に虐待を受けて心の傷を抱えたまま人格障害になってしまっている女性が多かった。『それでもお母さんが大好き』と言う女性を見て、絶望的な共感をおぼえた。形は違えどすごく理解できる気がしたのだ。
 その中で”虐待”にお詳しい西澤哲さんがおっしゃっていた。英語で虐待のことを”child abuse”と言うらしい。”abuse”とは、”drug abuse(薬物乱用)”、”alcohol abuse(アルコール乱用)”と同じで”乱用”と訳すのが正しいそうだ。つまり虐待は”子供乱用”。親が子供を自分の思い通りに乱用することなのだという。その言い方のほうが、事の本質がわかりやすいと思った。

 私は今日も朝から、とても疲れている。

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