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私の死亡記事
 深夜にやっていた『天国へのシナリオ』という番組を見た。

 自分はどのように死にたいか?自分の死ぬ日の姿を想像したシナリオを作り、ショートドラマ化。それを見ながら“自分がいかに死にたいか=いかに生きたいか”を語り合う、新しいスタイルのトークバラエティー番組。(NHK番組表より)

夏木マリさんと立川志の輔さんの理想の死に方を見て、”自分が好きなことをして死ぬのが一番の贅沢”なのだなと感じると同時に、”そううまく思い通りには死ねないんだよね”というお話に大きくうなづいてしまった。

 そんなわけで、私には番組の中盤に流れていた”私が書いた私の死亡記事”というコーナーがとても印象に残った。その名の通り、何人かの著名人が自分の死亡記事を想像して書き、それをアナウンサーが朗読しているだけのコーナーである。けれども、どの記事にも少しずつ笑いの要素がちりばめられていて、”死”なんて意外とあっけなく、これぐらいマヌケなものなんじゃないかなと思ったのだ。

 『体がどんどん小さくなり死亡した。』と書いたのは、コメディアンの石井正則さん。

 最後は急速に縮んでゆき、「『死』というより『消滅』じゃな」と言いながらドットのようになり、文字通り人生のピリオドとなった。

思わず「うまいっ!」と声を出して笑ってしまった。誰が面白いことを言えと・・・。

 『ヒマラヤ山中で裸の遺体が発見された。』と書いたのは、ミュージシャンの細野晴臣さん。

 なお、裸の遺体の近くに着衣は発見されず、奇妙なことに普段着ている服は、誰も訪ねて来ない自宅の風呂場に、溜められた水とともにそのまま脱ぎ捨てられていた。まるで入浴中にヒマラヤへ飛んでいったかのような謎の失踪に、関係者は首をかしげている。

ワープして好きな場所で死亡というのもいいものだ。けれども死因は凍死ではなく、栄養失調だそうだ。

 『介護施設で頭部を強打したことによる脳内出血で死亡』と書いたのは、俳人の坊城俊樹さん。

 以前から好意を寄せていた女性をエスコートしようと腰に手をまわしたところ、その手が激しく震えて臀(でん)部をさすってしまい、突き倒された際に後頭部を強打した。

そんな自嘲気味なオバカな死に方もいいかもしれない。坊城さんが想像した辞世の句は、108歳での死亡を予想してこんなものだった。

煩悩の 数に降りやむ 春の雪      俊樹

 番組に触発されて、私もなんとなく自分の死亡記事を書いてみたくなった。色々と考えてみたのだが、どうしても今の私が書くと、自殺あるいは事故による悲惨な死亡記事になってしまいそうなのだ。上のみなさんのように、気の利いた最期が書けない。
 もう少し、元気になったらいつか書いてみたいと思った。他人に見せられるだけの最期を想像できるような、自由な発想の頭になりたいと思った。

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