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どう接したらよいか
 先日行った病院に置いてあった『うつのこと、もっとわかってほしいから』という冊子に、うつ病患者にどう接したらよいかがとてもよく書かれていたので、メモしておく。

 うつ病治療にかかせないのが、まわりの理解とサポートです。うつ病は、気の持ちようから来るのではなく、病気であることを患者さんとともにまず理解しましょう。また家事などの日常生活上の負担をへらしてあげるように努めてください。

<会話の一例>
【よくない会話】 「夕食はなにがいい?」 ─ 「何でもいいよ」
【よい会話】「夕食はなにがいい?」 ─ 「カレーがいい」
このように、何がいいかはっきり答えてあげることで、負担を減らしてあげましょう。

この具体的な例は、とてもわかりやすいと思った。
 「あなたの好きにしたらいい」というのは、一見とても自由で親切な返事のように聞こえるが、うつ病患者は集中したり決断したりするのがとにかく苦手で、それが思うようにできない事でイライラしたり自分を責めたりしてしまうのである。少なくとも、私はそうである。「何でもいいから早く決めて」などと言われようものなら、とても頭が混乱してパニックになって泣きながら逃げ出してしまうかもしれない。
 日々の”負担なことベスト3”に入っていそうな”夕食”のメニューも、こんな風に誰かに決めてもらえればとても楽だろうなと思った。本当に些細な事だが、とてもうれしい心配りだと思った。

Q.周囲の人にできることはありますか?
A.患者さんを怠け者扱いすることはもちろんですが、同情したり、励ますつもりで「がんばって」というのも、かえってストレスになることがあるので避けるべきです。また、気分転換になるからと無理に運動や旅行に誘い出すことも避けましょう。
 逆に、まったく声をかけないのもよくありません。本人が構われるのを嫌がる様子をみせても、内心では、誰かが声をかけてくれるのを待っている場合が多いのです。(略)

「がんばって」や「気分転換」が禁句である事は、うつ病に詳しい人の間では常識だと思うが、世間一般には意外とまだまだ浸透していないようだ。未だに私の母なども「外に出て気分転換でもしないと、余計に頭がにぶるわよ~」などと言って、外出の誘いをかけてくる。
 ただこの辺も難しいところで、家でゴロゴロしている五体満足の大人が、ただの怠け者なのか病気なのか、叱咤激励したほうがいいのか温かく受けとめたほうがいいのか、誰が判断すればいいのだろう。あまりにも長引くうつ病に、私は自分が”うつ病の皮をかぶったただの怠け者”なのではないかと、本当に思うようになっている今日この頃であるが、夫は言う。『そうやって自分を責めるのがうつ病なんじゃないの?』 先生は言う。『昔はそんな性格じゃなかったんでしょ?』 だが聞かれてもわからない。冷静な判断ができないし、正確な記憶もない。困ったものだ。

 それにしてもこのクダリにはまいった。

内心では、誰かが声をかけてくれるのを待っている場合が多いのです。

そのとおりだと思う。自分でも最近まで気づいていなかったが、人との接触がなにより嫌いなくせに、本当は誰かに声をかけてもらいたい。忘れないでいることを教えてほしい。”私”という存在に自信を持たせてほしいのだ。
 ちょうど昨日、学生時代の友人から半年ぶりにメールがきた。幸せな近況を聞くのが辛いし返事を書くのも負担なので、『メールなんでくれなければいいのに・・・』と思ったのも確かだが、どこかで少し喜んでいる私がいた。



『うつのこと、もっとわかってほしいから』 ※精神科、診療内科などに置いてあります。
提供:グラクソ・スミスクライン株式会社
監修:北里大学名誉教授 ゆたかクリニック名誉院長 村崎光邦先生

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