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睡眠の科学
2008.07.18 Fri 23:02 | ドキュメンタリー | テレビ・ラジオ
 深夜に放送している「CBSドキュメント」で”The Science Of Sleep(睡眠の科学)”というドキュメンタリーを放送していたので、録画して見た。

 私たちは人生のおよそ3分の1を眠りに費やしているといわれています。しかし何時間も意識を失うという状態がなぜ必要なのか、そして眠っている間、脳や体がどんな状態におかれているのかなど、眠りについての科学的な解明はあまり進んでいませんでした。
 アメリカで複数の研究機関がボランティアを使って睡眠に関するさまざまな実験を行っていますが、これまで知られていなかった事実があきらかになってきました。

(番組冒頭のキャスター説明)

実際に被験者を睡眠不足にさせて調べるさまざまな実験が興味深かった。以下に、睡眠を科学している3人の博士の新発見をまとめてみた。

マシュー・ウォーカー博士(心理学者)
カリフォルニア大学バークレー校助教授、『睡眠およびニューロンイメージングラボ』所長

1.睡眠と記憶について

左手で一定の数字を何度も何度もタイプしてもらう実験をした。
『朝暗記したものを12時間後にテストするグループ』と『夜暗記したあと一晩ぐっすり寝てテストするグループ』では、後者のグループの記憶力が20~30%向上していた。
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睡眠をとることによって記憶力が強化されることがわかった。練習だけが全てではないということ。練習して一晩眠ることで完璧になる。

2.睡眠不足と情緒不安定について

MRIの検査台の上で神経を逆なでするような映像を見せる実験をした。
『睡眠を十分にとったグループ』の脳を見ると、感情をつかさどる”扁桃体”は穏やかな反応を示していたが、『睡眠不足のグループ』の場合は、”扁桃体”が異常に活発な反応を示していた。さらに『睡眠不足のグループ』の脳内では、感情をつかさどる”扁桃体”と、論理的思考および決断をつかさどる”前頭葉”との連絡が遮断された状態になっていることがわかった。
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睡眠不足状態の人が情緒不安定になる原因は、感情と理性がつながっていないことにある。
これと同じ状態は精神障害を抱えた人にも見られ、このことから眠りが精神衛生上与える影響や、精神障害との因果関係を解明することが、今後の研究の重要な課題になる。

デイビッド・ディンジェス博士(心理学者)
ペンシルベニア大学医学部教授

1.睡眠不足と身体機能の低下について

薄暗い病室で午前4時に寝て8時起床というサイクルを5日間続ける実験をした。
被験者は思考と反応のスピードが鈍り、記憶に関する機能も低下することがわかった。この影響はたった1日であらわれ、日を追うごとに認識能力は低下していった。『はちみつの中を動いているような状態』であった。
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身体機能の低下が進んだら、眠る以外に回復する手立てはない。

2.マイクロ睡眠について

自動車を時速100kmで走行中の場合、2秒間眠りにおちただけで車線から外れる。4秒で路肩からはみ出す。これは”マイクロ睡眠”と呼ばれ、目を開けているときにも起こる。眠気覚ましに自分のほっぺたを叩いたり窓を開けたりラジオのボリュームを上げて歌を歌ったりしても、効果は一時的なもので、その最中に眠気に襲われる事もある。
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通勤時間や労働時間が長い人、あるいはがむしゃらに働いているような人は、自分は睡眠不足に体が慣れていると思い込んでいるが、それは都合のいい言い訳にすぎない。睡眠不足は順応できるというのは嘘である。

イブ・バンコーター博士(内分泌学者)
シカゴ大学メディカルセンター教授

1.睡眠不足と糖尿病・肥満について

睡眠時間4時間を6日間つづけてもらう実験をした。
すると糖尿病の症状が現れた。また被験者はみな空腹感に襲われることがわかった。脳に満腹であることを伝える”レプチン”というホルモンを調べると、そのレベルは低下していた。
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睡眠不足がこの国の肥満の爆発的増加を招いている。

2.睡眠の質について

睡眠中8時間半に渡ってベッドのそばで騒音を出す実験を4日連続で行った。
睡眠の量は十分だが、深い眠りを妨害された被験者は、空腹感を覚え注意力が低下した。さらに糖の代謝を十分にできなくなっており、一時的に”II型糖尿病”にかかる危険性が高まっていた。
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睡眠不足は糖尿病の新たな危険因子かもしれない。
年をとるにつれて深い睡眠の状態は減っていくことはわかっており、高齢者が健康上の問題を多く抱えるのは、深い眠りが少なくなった状態だという仮説も立つ。

なお、日本の総務省が日本人の睡眠について調査した結果では、日本人の平均睡眠時間は7時間42分ということであるが、同じ調査をアメリカの研究所がしたところ、日本人の4割が6時間以下で、これは世界で一番短いのだそうだ。



 この番組を見終わって、私の病気の根本原因は睡眠不足、または睡眠の質が悪いことにあるのではないかと思うようになった。これらの実験の被験者の状態すべてが私にあてはまる。情緒不安定だし、毎日が『はちみつの中を動いているような状態』だし、高速道路で居眠り運転をして路肩に車をぶつけてしまった事もあるし、眠くて仕方のないときにたまに暴食してしまう。
 私の(夜の)平均睡眠時間はおそらく4~5時間。変な夢ばかり見ていて、深い眠りを実感することができない。私の精神障害の要因のひとつには、睡眠不足があるであろう事は否めない。

 『とにかく1時間でも多く寝ることが大切である。』─それはまったくおっしゃる通りなのだが、私はなぜか、どうしても寝ようという気にならなくて困っている。誰かが一服盛ってくれでもしないと、薬も飲もうとしないのだから。

 最後に、デイビッド・ディンジェス博士の言葉を引用する。

眠りがどんなに気持ちの良いものか、睡眠の快楽と言うものを・・・喜びと表現しましょうか。人生、目を覚ましている事ばかりが大切ではないんです。


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