飛騨牛、ウナギ、船場吉兆……このところ続々と噴き出す「食品偽装事件」。その多くが、内部からの通報・告発をきっかけに発覚した。いまから6年前、その “さきがけ”とも言える事件が世間を賑わせた。BSE騒ぎのさなか、輸入肉を国産肉と偽った、雪印食品による牛肉偽装事件である。
冷蔵倉庫会社の社長・水谷洋一氏が、実名で告発したことで不正は明らかになった。当時、水谷氏は、「内部告発を行ったヒーロー」として、一躍マスコミの脚光を浴びた。だが、その後、水谷氏も、周囲の人々も、思いもよらない過酷な運命に翻弄されることになった。
(番組ホームページより)
西宮冷蔵の水谷洋一社長は、初めて従業員の一人から偽装の事実を聞かされたとき、思ったそうだ。
というのも雪印食品は、阪神淡路大震災のとき、100社ある得意先の中ただ1社だけ、東京の若手3-4人を 『自分の従業員だと思って使ってくれ。』 と西宮冷蔵に派遣してくれた、尊敬すべき会社だったのだという。まず最初に頭をよぎったのは、『お得意先を擁護しなければいけない、守ってあげなければいけない』という観念だったですね。
だからこそ、社長は雪印食品に何度も忠告をしたという。『”調べたらうっかりミスによって輸入肉がまじっていることが今わかりました”って金を国に返せば、事なきを得るはずや。』 『ここはちゃんと処理しといたほうがええ思いまっせ。』
けれども、大企業の雪印食品は、零細企業の一社長が言うことなど耳も貸さなかったという。そればかりか 『輸入肉のダンボールそっちでうまく処分してよ。』 などと後始末を押し付けてくるありさま。
偽装工作からおよそ3ヶ月、とうとう水谷社長は心を決めた。『下請け扱いするのもいいかげんにせえよ!』 社長は従業員をあつめて言った。
そして2002年1月22日、水谷社長は新聞記者に偽装の事実を実名で告発。雪印食品は、結局2002年4月解散に追い込まれるという大事件になった。勇気ある告発者としてマスコミの脚光を浴び、一躍時の人となった水谷社長に、『社長が一人で大企業に勝ったで!』 と社員たちも大喜びだった。本来取引先を守るのがスジや。だから何度も警告した。けど踏みにじられた。もうあかん。俺は雪印食品を告発しようと思う。
ところがそれから、社長も”想像のつかなかった”事態がおこる。倉庫法違反による7日間の営業停止命令。雪印食品以外の取引先がすべて撤収。その結果、告発からおよそ10ヶ月後の2002年11月末日をもって、西宮冷蔵は廃業となってしまったのだった。社長は従業員を集めて土下座をしたという。『みんな俺と一緒によう戦ってくれた。ほんまに感謝のきもちでいっぱいや。おおきに。』
従業員だった息子と2人、日雇いでもして暮らしていこうかと思っていた水谷社長に、”再建”の勇気をくれたのは、雪印食品の元従業員・川瀬二見さんという女性だった。突然たずねてきて、『ぜひ会社を再建してください。お願いします。』 と頭を下げたという。川瀬さんは当時を思い出して言った。
その約束を胸に水谷社長親子は、2003年夏から『まけんで!!西宮冷蔵』という旗を持って、大阪の梅田歩道橋に座り込み、カンパを募る活動を始めた。活動は寒い冬も続き、それがマスコミに報道されると全国からカンパが集まり始めたそうだ。複雑な気持ちもありました。けどね、でもやっぱりこの人が一番悪人ではないんだという、その思いは私はずっと思ってましたからね。だからやっぱり西宮冷蔵の会社も、荷物もだんだん減っていって空っぽになってしまったという・・・、告白者をどうして世間はね、さらに追い討ちをかけていじめるのかなっていう、その理不尽なことのほうが私は気の毒というかね。
告発から2年余たった2004年3月、西宮冷蔵はようやく再開できることになった。『社長!水臭いやないですか!』 『また雇ってもらえますよね?』 一度は解雇した社員が7人、社長のもとに戻ってきてくれたそうだ。
現在、ようやく半分以上の荷物で埋まってきた倉庫を背中に、現在の水谷社長は力強くこう言った。
この人だから、社員はついていくんだろうなあと思った。決して焦らずに、大地にしっかりと足踏みしめて、やがていつの日か満杯にしてみせます!
『正しいことしたんやろ?』 と、父親をまったく責めなかった息子の水谷甲太郎さんは、現在は専務として現場をとりしきっているそうだ。『もし将来また同じような事が起こったらどうしますか?』 との問いに、甲太郎さんは 『うーん』 と少し考えてからこう答えた。
結局、お父さんと同じ事をするという事なのだろう。お父さんの背中を見て育った甲太郎さんは、きっと立派な社長になるであろうと期待する。簡単に告発しますということはまずないですね。告発するって言うのは相手もそうですし、自分も身を削ることになりますし、まぁそれは今回の事件でわかったし。とにかくやめさす努力をして、何回も何回も言って、それでもまったくこちらの言うことを聞いてくれない、弱い立場につけこんでくるってなったら、そのとき考えたいですね。
それも親父と一緒で、自分で決めたいと思いますね、人に相談せず。はい。
一人の勇気ある決断と、それを支える周りの人々がいなければ、現在の数々の偽装事件が公になることはなかったかもしれない。悪しき習慣、組織ぐるみの隠蔽、大企業の圧力、そんなものに”正しい人”が潰されていくのはもうたくさんだ。だが、私には勇気がなくて 『内部告発』 はできなかった。自分さえ我慢すればすむことだと思っていた。
水谷社長には、本当に本当に敬意を払いたい。
そもそも、補助金制度って、業界救済の色合いが強くて、もちろん不正はだめなんだけど、バッファーが広いというか、大人の事情が入り込むというか、なんというか、むにゃむにゃ。。。。みんな正しい(あるいは悪くない)と思ってやっていたのだろうなぁと、思ったりもします。
ただ、談合にしても、日本社会では許されない状況になってきていますし、労働環境にしても、歩みは遅いですが、少しずつ良い社会に近づいているのだと信じたいですね。
私自身、善悪の判断を求められる夢を良く見るのですが、自分の中の正義に反して、社会性を重視した判断を下してしまうことがほとんどです。目が覚めたときになんともいえない罪悪感が残り、現実世界では、正しい決断をしよう!!と強く思うのであります。夢の中では何回かに一度は、自分が損をしても!という決断ができているのでまあよしとしよう。念を押しますが夢の中のお話ですよ。
江戸時代のお偉いさんも、「水がきれい過ぎると、魚も住めない」といっておりましたが、人の世というものは、善悪の二元論でなかなか割り切れるものではないですね。このあたりに社会学の面白さがあるのでしょうけど。
(political correctness=政治的な観点からみて差別や偏見のないこと)
という言葉を思い出します。
今の時代、正しいことを言うように義務付けられているがゆえに
みんなの意見は単一化し、そこから外れた者は異端児となるわけですが。
ホントに何が正しいことなんでしょうねぇ。
立場によっても”正しいこと”が変わるのかと思いつつ
でもやはり私はどこへ行っても周りに合わせる人間のような気が
してしまうのです;;トホホ・・・
・時事ネタでいえば国が500%の関税をかけるのは政策であって、民間が20%の利益を内輪で上乗せすると、談合、即タイーホ。
・法定制限速度40km/hの道路を55km/h走行はセーフで 60km/hはアウト、反則金。
・宗教ブックに記載されている戒律を破れば懺悔部屋に直行で、異なる宗派ならノープロブレム。
こうやって考えると、正しいのか間違っているのかは人間が決めているんですよね、結局。
あれこれ考えてみても20年前、30年前のほうが今よりもっと画一で単一的な考え方だったのではという気がします。
グローバル化が進み、世界レベルで多くの人々の共通認識はどんどん統一化されていることは実感しますが、その共通認識の根幹の一つに、他者を認める、異端を社会に共生させるという価値観はますます強くなっていると思います。
いつの時代も社会は過渡期として存在するわけで、そんな現在の世界は結構(・∀・)イイ!!世界だと思いますし、(・∀・)イイ!!方向へ向かっているとも思います。
基本スペックとして日本人は順応性が高いのでしょうけど、その中でもぐりえさんは順応性が(極度に)高いのでしょうね。。
人にあわせること・社会にあわせることができるというのは、悪いことではなく、むしろ良いことが多いと思います。どんなことでも度を過ぎるとアチコチで問題が発生するというだけですよ。
たまに、「がんぐりえ」を発動して、
『オレってオレらしいことしてるジャン!』←なぜかハマっ子
ってちょっぴりうれしく思えるときがあればいいジャン!!←またハマっ子
※以前コメントにあがってたのは「ごんぐりえ」でしたね。勘違いして「がんぐりえ」かとおもってました。しかも勝手に"頑固"と結びつけて。ホント失礼しちゃうわよね。
小さい頃からともだちにあだ名をつけまくっては先生によく怒られていました、はい。
いつもむずかしいお話をわかりやすく書いてくださってありがとうございます^^
そうですねー常識も憲法もぜーんぶ人が決めているものなんですね。
それすらも流動的にかわってゆくと・・・φ(。_。*)フムフム
あと私は自分で『合わせてる合わせてる』と言い張ってますけれど
実はまったく合わせられてないんじゃないかなぁとさっき突然思いました^^;
なんか全部勘違いというか独り相撲のような気がし(ry
で一人じゃ何もできないので大勢の中に紛れているくせに
裏ではこうしてHNでグチグチと偉そうに物申してるわけで・・・
なので表題の番組の水谷さんには”ゆるぎない信念”みたいなものがあって
本当にすごいなあと思うのであります。
あ、HNはもうどうでもいいです^^;;
お好きなようにあだ名つけて呼んでください(´∇`)